貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ37)

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－You Side－

『それで、薫くんはどうにかしてあんずちゃんとお出かけしたいわけね～』

私と零くんからの集中攻撃により、しょんぼりと涙目になりながら頷く薫くん。
ちょっと言い過ぎたかとは思いつつも後悔はしていない。

「ね、Aちゃんはあんずちゃんが今欲しいものとか知らない？」

『え、なんで？？』

「日頃のお礼ってことで、あんずちゃんに何かプレゼントしたら、少しは俺に対して警戒心解いてくれるかなって思ったんだけど……」

『……あ～、なるほど』

彼的には、そのまま徐々に自分への警戒心を解いていき、デートまで持っていきたいらしいけど。

……なんかちょっと、薫くんっぽくない気がする。

そんなことを思いつつも、とりあえず最近あんずちゃんと関わった日の出来事を脳内で遡った。

『赤ペンのインクがそろそろ切れそう～とか、最近暑すぎて困るから大きい扇風機が欲しい～とかなら言ってたような……？』

「間違いではないけど、なんか違う！！」

まあ確かに、“あんずちゃんの欲しいもの”ではあるから私に非はないのでご了承頂きたい。

けれど、いずれも気になる子に贈るような品ではないことは確かだった。

『難しいね。零くんは他になんかある？』

「思い出せるものはないのう……。元々あの子は物欲もあまりないじゃろう？」

うんうん、と頷きまくる私と薫くん。
それな！！と声を大にして叫びたいほど共感できた。

『……そういうわけで、薫くんがあげたいものあげれば良いと思う』

折角相談してきた彼には、特に何も解決できていなくて申し訳ない。
すると、それが分かんないから悩んでるんじゃん～～と喚き始めてしまった。

「“わしらから見たあんずの嬢ちゃん”ではなく、“薫くんから見たあの子”にあげたいものを考えることが肝心じゃよ。薫くん」

「……そんなの分かってるけど、あの子のことを考えるほど思いつかないんだってば」

その言葉を聞いて、普段の薫くんと余りにも違いすぎる様子にため息をこぼす零くん。

でも、それだけ薫くんはあんずちゃんのこと好きっぽいなぁ、なんてぼんやりと思っていた。

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