第7話 ページ9
☆
じぃじから公式戦の軽く説明を終え、男子から始まる。
大前は如月、2番は山之内、3番は鳴宮、4番は竹早で落ちは小野木と…
外からでもわかるくらいにチームワークがズタボロ、弓道は個人競技ではあるが団体戦は意思疎通が大事だ。
あはは、滝川コーチはゾッとする悪魔のような満面な笑みで男子達を見つめていた。
「え、妹尾が落ちじゃないの！？」
「満場一致で春日野が落ち、むしろ春日野がいいんだよ。皆。」
「うんうん、Aちゃんだと安心だし！」
「ですわ」
「わかった」
初めて女子部員が全員＋滝川コーチで的前に立つ。
妹尾の射はワンテンポ速い…けど…淀みがなく、かいがしっかり保てている。
流石だな…皆を引っ張ってくれる。
白菊さんはとても器用だ。誰がどんなテンポで引いても動きが一定でスピードにブレがなく、射が引きやすい。
ゆうなちゃんの射はテンポがバラバラでまちまちだけど、それが彼女らしくて楽しそうな気持ちが伝わってくる。
流石は滝川コーチ。
私だって、もっとこれから上手くなりたい…
皆、それぞれ違っててそれが重なる瞬間が楽しい。
((綺麗な弦音……))
そして女子混戦チームが勝利し、男子チームは下僕Tシャツの餌食となった。
話が進んでいくうちにGWは3日間の合宿が決まり、皆楽しそうにはしゃいでいる。
せっかくの休日なのに愁に会えないかもって考えると少し複雑に感じてしまうのが嫌だなぁ。
合宿、すごく楽しみなのに…
でも、愁に会いたい……
「ゆうなちゃん」
「ん、どうしたの、Aちゃん」
「手芸屋さん探してて、やっぱりホームセンターのある駅まで行かないとないかな？」
「手芸屋さんか…この辺じゃ聞かないかも」
「そっか、ありがとう」
「ううん、力になれずにごめんね」
帰りにちょっと行ってみようかな…？
こっちに来てから病院や近くのスーパーしか来たことないし丁度いい機会かも
「春日野、ホームセンター行くの？」
「うん、そうだよ」
「私も行きたい、色々と見たいから」
「強い味方！！」
「えー私も予定なかったら行きたかったですわ」
「私もー、今度みんなで行こうよ！」
中学の時も女子中で楽しかったけど…
部活やらで寄り道っていうのがあまりできなかったし、こういうの憧れた。
少しずつだけど、皆と仲良くなれるのが嬉しい…
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作者名：るあ | 作成日時：2023年2月19日 10時
