ある夜のはなし その２ ページ17
悲「なに……？」
悲鳴嶼さんは驚いていた
そりゃそうだ。 弟子からこんなことを言われるなんて想像もしないだろう
『す………すきなんです………
ひ、悲鳴嶼さんのことが………』
小さな声を絞り出した
手と肩がふるえ、顔がものすごく熱い
うつむいたまま、何を言われるのかとじっと返答を待った
悲「……………そうか。 それは気づいてやれなくてすまない。 今まで苦労をかけてしまったな…」
思いがけない言葉に驚いて顔を上げる
『な…どうしてですか……？
私は弟子として失格ですよ……？』
悲「そんなことは関係ない。Aの気持ちだ。 人の心はいつだって人を求める。 私もおまえの心に何度助けられたか…」
『……………ひめじまさん………』
涙が一筋頬をつたった
悲「私にはAを満足させることはできないかもしれない。 だがAの気持ちに答えたい。
…師匠としてではなく、一人の人間として。」
ああ、なんて優しい人なんだろう。 こんな私のことをしっかりと受け止めてくれるのだ。
本当に、本当に今だけは……
『近くに行ってもいいですか……？』
悲「ああ。おいで。」
数歩あるいて悲鳴嶼さんのすぐ目の前に向かい合って腰をおろした
ほのかにお香の良いにおいがする。
顔が熱い。 自分の心臓の音がどくどくと聴こえる。
『さ、触っても……よろしいですか……』
自分はなんてことを言っているんだ。途中で気づいて最後の言葉が消えてしまいそうだ
しかし悲鳴嶼さんは嫌な顔をせず、一度だけ頷いた
その逞しい腕にそっと触れる
硬い。私の腕とは大違いだ。
手を下にすべらせて、彼の左手を両手で包み込む
ごつごつとした、傷だらけの大きな手。
指と指を絡ませてみる。 ああ、幸せだ。
……そろそろ終わりにした方がいいだろうか。
ならば最後に
『……失礼します』
するりと悲鳴嶼さんの背中に腕を回す
これは流石に急だったのか、ぴくりと体が反応する。
悲「A………」
『ごめんなさい……』
それでも悲鳴嶼さんは私を剥がそうとはせず、抱きしめようともしなかった
額に彼の胸筋があたる。
回した腕はしっかりとその鍛え上げられた体に巻き付いている。
さらにお香の良いにおいがした。
『悲鳴嶼さん………少しだけでいいから……抱きしめてください……』
悲「しかし……………」
『おねがいします』
ある夜のはなし その３→←ある夜のはなし その１【悲鳴嶼行冥】
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凪 - 竈門くんほんとよかったです！！あの、リクエストいいですか、伊黒さんが浮気して夢主ちゃんが怒って出て行くみたいな話が見たい、です (2020年2月5日 21時) (
レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)
ねこずな(プロフ) - 美桜さん» ひ〜〜〜いつもありがとうございます( T∀T) (2019年10月19日 18時) (レス) id: f038d3e1b6 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - ねこずなさん» 時の香悲鳴嶼素敵な話ですね。すごく良かったです。 (2019年10月12日 9時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
ねこずな(プロフ) - 美桜さん» またまたリクエストありがとうございます！美桜さんにはいつも感謝しております……。細かい設定も本当に助かります！リクエスト承りました！ (2019年9月15日 15時) (レス) id: f038d3e1b6 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - またリクエストいいですか？夢主は注射が苦手で逃げたり隠れたりする。キャラ無一郎不死川実弥。夢主の階級甲もうすぐ柱になる。お願いします。 (2019年9月15日 14時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねこずな | 作成日時：2019年7月9日 21時
