魔法のチカラ ページ26
*
「………うるさい」
なんだかいろんな音がして意識が戻る
あぁ、寝ちゃってたんだ…
そう気がついた時には
軽やかなチャイム音と
床から聞こえる振動音
ベッドから降りながら
振動するケータイを手に取る
’着信 ドンへ’
ふうっと息をついてから電話に出る
「んー、ドンへ？」
DH「A！出た！やっと出たー！」
ビックリするぐらいの大声で、
思わず耳からケータイを離す
その間も聞こえるチャイム音に神経が向かって、
耳から離したケータイから聞こえるドンへの声を放っておきながらドアへ向かう
DH「ヤー！Aー！」
「ちょっと黙ってて…」
聞こえてきたドンへの声を制しながら
ドアを開けた…
「Aー！！」
ドアを開けた瞬間、
大きな声が聞こえたと思ったと同時に
目の前が真っ暗になった
それと同時にふわっと温もりに包まれて
慣れ親しんだ香りにも包まれる
「はぁ…、やっとぎゅうって出来たぁ…」
耳元で聞こえる声は…
「…ドンへ？」
DH「んはぁぁ…、やっとAをぎゅう出来たぁ。Aの魔法、もっとちょうだい…」
アタシの視界を遮るのはドンへの胸で
切なそうな声と吐息がアタシの耳を支配する
やっと、
ドンへに抱きしめられてることを実感した…
「…ドンへ？」
DH「…ずるい。こんなに近くに、おんなじ大阪にいるのに今まで会えなかったなんて、ずるい」
ぎゅうっとしたままで言うから、
吐息が耳にあたってくすぐったい
なんだか、変な感じ…
DH「Aの魔法がなきゃ、ダメだって知ってるでしょ？」
「…うん」
ここは、この場は、
どう返事したらいいものかわかんなくて…
とりあえず「うん」って言っちゃったけど…
DH「もう、オレ…、ホントに、Aの魔法がなきゃダメみたい…」
そう言うと同時に、
ドンへのぎゅうってするチカラが強くなった
息をするのもキツイぐらいの
ぎゅう加減で…
簡単に“魔法”って言ってしまったことに、
罪悪感を感じてしまったり…
魔法のチカラは
思ってた以上の効力を発揮中……
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作成日時：2014年1月23日 0時
