No.047 腕まくら ページ9
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それから、ベッドに並んで腰掛けている現在まで、
紀章さんは私の恋人としての役割を完璧に成し遂げた
事あるごとに頭を撫でて、髪に触れ、
あのイイ声で名前を呼んではかわいいだの好きだのと囁いて
時折私にも好きって言ってとねだったりして、
本当に付き合っているのかと錯覚してしまうくらい、
完璧だった
そのおかげと言うべきか、
私の心臓は、このまま死んじゃうんじゃないかって
不安を覚えるくらい、ずっとうるさく鳴っていた
こんなことは、人生ではじめてだ
「A、もう眠い？」
「ううん、まだ大丈夫」
「なんか話すか？」
「うん。私が質問してもいい？」
「お、いいよ。なに？」
「あのさ、紀章さんってさ、いままで、
誰かと付き合ったこととか、好きになったこと、ある？」
「えーっと……ある、けど？ここ正直に話していいとこ？」
私の髪を撫でながら、紀章さんは困った顔をしていた
話したくないことなのだろうか
それとも、私に言えないようなことなのだろうか
「恋人がいた、昔ね。それこそAに拾われる前の事で
俺が職を失ったからフラれたわけ。それだけの話」
「ふーん。紀章さんはその人のこと、まだ好きなの？」
「えっ、いやあ、全然。その気はないけど」
「……ほんと？」
「えーなに？もしかしてA、ヤキモチ？」
「ちがうけど」
「なんでそこ即答なの！？」
ヤキモチ、ではないと思う
私の知らない頃の紀章さんのことを知っている人がいるのは
出会った時期を考えれば当たり前のことだし、
過去に付き合っていた人のことなんて、
いままで私にわざわざ言う必要は無かったんだから
それでもなんだかちょっぴり寂しくて、おもしろくなくて、
私から紀章さんに手を伸ばした
「Aどうした？ん、ハグする？」
「うん。もう寝よ」
「ごめんね、つまんない話しちゃって」
「うん。ほんとにつまんなかった。でも紀章さんのこと、
これからはもっと、……知りたいな」
「そう？また話すね」
「うん」
「腕まくらしてやろーか。ちょうどいいといいけど」
「腕まくら？ここに私が頭乗せるの？」
「そう。恋人はみんな、そうやって寝てる」
「嘘つきね。紀章さん、腕痺れても知らないからね」
紀章さんの腕まくらは、硬さも高さもちょうど良くて、
私は紀章さんのぬくもりを全身で感じながら眠りについた
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ライ(プロフ) - 珠璃さん» そうなんですね、了解です！ありがとうございます！ (2022年5月20日 17時) (
レス) id: 8d8b7851e6 (このIDを非表示/違反報告)
珠璃(プロフ) - ライさん» 御二方いらっしゃるんですけど元々は中村悠一さんと小西克幸さん目当てで読ませて頂いてました！ (2022年5月20日 14時) (レス) @page21 id: 80f8fa9bb0 (このIDを非表示/違反報告)
ライ(プロフ) - 珠璃さん» 初コメントで優しいお言葉をくださり、ありがとうございます、本当に嬉しいです。これからも頑張ります！ちなみにですが、誰を目当てに読み始めたとかはありますか？ (2022年5月20日 2時) (レス) id: 8d8b7851e6 (このIDを非表示/違反報告)
珠璃(プロフ) - 更新ありがとうございます、執事達との婚約パターンも見てみたいです、この作品を知ってから更新されるのが待ち遠しいです。気長に待ちますので、作者様のペースで更新なさってください。これからも楽しみにしています！ (2022年5月20日 0時) (レス) @page21 id: 80f8fa9bb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：TOA | 作成日時：2022年5月3日 2時
