No.065 強がりの嘘 ページ30
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「私の食事はどうするの？」
「もう専属のシェフがおりますでしょう」
「私の口に合わなかったら？」
「クビにして次を雇えばいいのです」
「それでも私の好きな味を作れなかったら？」
「腕の立つシェフなど星の数ほどいます。
A様のお気に召す料理を作れる者が現れるまで、
何人でもクビにしてよろしいのです。
A様はそれほど権力をお持ちの高貴な方なのですから」
「そんなの、全員クビにしたって、ダメだったら？」
「好きな味を作れるようになるまで、食べなければいい」
「ねぇ、ゆーきゃんじゃないとやだ」
「私くらいの料理、大抵のシェフは作れます」
「なんでそんなこと言うの？」
「本当のことです」
私は悠一さんの作った料理が好きなのに
悠一さんが私のために頑張って作ってくれたお菓子とか、
私の好みを完璧に覚えられたコース料理とか、
私の健康を考えて、苦手な野菜も食べられるように
工夫された料理とか
その全てから、悠一さんの愛情を感じるから、大好きなのに
「私のこと好きなんじゃないの？」
「お慕いしておりますよ」
「じゃあどうして私と離れるなんて言うの？」
自分がひどいことを言っているのは、わかっていた
悠一さんの気持ちに応えられないのに、手放したくないから
そんな自分勝手な理由で引き止めている
せめて、瞳に溜まった涙をこぼさないようにするので精一杯
「アンタが俺のものにならないのに、
アンタの近くにいるのはもう無理なんだ。ごめんな、」
最後にそんな無礼な言葉を吐いたって、
私しか聞いていないんじゃ、解雇する理由にはならないのに
それでも、悠一さんの真剣さは、認めてやらなきゃ
「……ゆーきゃんのばか」
「申し訳ありません」
「……そんな無礼な執事、うちでは……雇えない、わ」
「はい」
「さよなら、悠一さん。……今までありがとう」
「こちらこそありがとうございました。A様」
悠一さんは部屋から出ようとした私の手を引っ張り、
右手の甲にキスをした
あなたに仕えられて幸せでしたなんて、
そんな泣きそうな顔で言ったって、信じられないのに
「どこにいても、A様の幸せを願っております」
悠一さんがいなくなるのは寂しいけれど、
私はそれでも大丈夫ってわかるように、
出されたものは好き嫌いしないで食べるようにしよう
大人にならなきゃいけないんだ
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ライ(プロフ) - 珠璃さん» そうなんですね、了解です！ありがとうございます！ (2022年5月20日 17時) (
レス) id: 8d8b7851e6 (このIDを非表示/違反報告)
珠璃(プロフ) - ライさん» 御二方いらっしゃるんですけど元々は中村悠一さんと小西克幸さん目当てで読ませて頂いてました！ (2022年5月20日 14時) (レス) @page21 id: 80f8fa9bb0 (このIDを非表示/違反報告)
ライ(プロフ) - 珠璃さん» 初コメントで優しいお言葉をくださり、ありがとうございます、本当に嬉しいです。これからも頑張ります！ちなみにですが、誰を目当てに読み始めたとかはありますか？ (2022年5月20日 2時) (レス) id: 8d8b7851e6 (このIDを非表示/違反報告)
珠璃(プロフ) - 更新ありがとうございます、執事達との婚約パターンも見てみたいです、この作品を知ってから更新されるのが待ち遠しいです。気長に待ちますので、作者様のペースで更新なさってください。これからも楽しみにしています！ (2022年5月20日 0時) (レス) @page21 id: 80f8fa9bb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：TOA | 作成日時：2022年5月3日 2時
