No.054 諏訪部さんの場合？ ページ16
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「私とも、その恋人ごっことやらを行われますか？」
私の髪を洗ってくれながら、諏訪部さんがそう言った
小西さんとの一件がなんだか心に重くのしかかり、
やるに決まってるじゃない！と、即答できないでいる
私がこの世に誕生した瞬間から知っていて、
いまでも風呂の世話までしてくれる諏訪部さんに、
今更恋人役をやってくれなんて、無理な話なのかもしれない
「……とりあえず私のこと呼び捨てしてみてくれない？」
「私がですか？」
「そう。はやく」
「A、」
私の要求にはすぐに答えてくれるのが
諏訪部さんのいいところだけど、
風呂場に響いた彼の声に、私はびくりと肩を震わせてしまう
諏訪部さんのイイ声で呼び捨てされるのは、悪くなかった
「今度は好きって言って」
「すき」
「違う！もっと感情を込めて。A、すきだよ、って」
「A、好きだよ」
シャワー音の隙間から聞こえる諏訪部さんのセリフ
私が指定した通りに喋ってくれているのに、
なんだかひどくつまらなくて、果てしなく物足りない
「もういいや」
「左様ですか。ご期待に添えず、申し訳ありません」
「ねえ、恋人ってお風呂は一緒に入るの？」
「……さあ、入る方もいらっしゃるでしょうけど」
「べーさん、一緒に入ってって言ったら入る？」
「いえ、そのようなことは」
「命令でも？」
「A様にあまり汚いものを見せるのは……」
汚いものって、なに？
私が怪訝な顔をしているのを見て、諏訪部さんは黙った
結婚しても、夫婦で一緒にお風呂なんて入らないのかな
ていうか、私ってぜーんぶ諏訪部さんにしてもらってたから
髪の毛の洗い方も、石鹸の泡立て方も、知らないや
「……順一さん」
「は、はい」
「恋人同士ってのは、身体を洗ってくれたりする？」
「……いいえ。A様がご結婚された後で、
A様のお身体を洗うのは、貴女ご自身です」
こんなことで結婚しないって決めるなんて、
我ながら馬鹿げていると思う
それでも私には、体を洗う執事も、服を着せてくれる執事も
髪を梳かしてくれる執事も、みんな必要だった
だってそうやって育てたのは私のせいじゃないんだから
執事に任せっきりにすればいいと言った両親のせいで、
任せっきりにしても怒らなかった執事たちのせいなんだから
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ライ(プロフ) - 珠璃さん» そうなんですね、了解です！ありがとうございます！ (2022年5月20日 17時) (
レス) id: 8d8b7851e6 (このIDを非表示/違反報告)
珠璃(プロフ) - ライさん» 御二方いらっしゃるんですけど元々は中村悠一さんと小西克幸さん目当てで読ませて頂いてました！ (2022年5月20日 14時) (レス) @page21 id: 80f8fa9bb0 (このIDを非表示/違反報告)
ライ(プロフ) - 珠璃さん» 初コメントで優しいお言葉をくださり、ありがとうございます、本当に嬉しいです。これからも頑張ります！ちなみにですが、誰を目当てに読み始めたとかはありますか？ (2022年5月20日 2時) (レス) id: 8d8b7851e6 (このIDを非表示/違反報告)
珠璃(プロフ) - 更新ありがとうございます、執事達との婚約パターンも見てみたいです、この作品を知ってから更新されるのが待ち遠しいです。気長に待ちますので、作者様のペースで更新なさってください。これからも楽しみにしています！ (2022年5月20日 0時) (レス) @page21 id: 80f8fa9bb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：TOA | 作成日時：2022年5月3日 2時
