怪盗記録≠ジャスティス【実況者】

十三/*ひと狩り行こうぜ ページ24

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「怪盗って、仕事の時以外は、何をしてると思う？」

「普段、ですか？
うーん……あまり思いつきません…」


それもそのはずだ。
怪盗、というところも未知の領域のはずなのに、その怪盗が仕事以外は何をしているか…なんて、ピンとくるはずがない。


「ふふ、驚かないでよ…？」
「は、はい……」


なんてことを言ってみたけど、実はそこのところ、特に何をしているということは無く、次の言葉に詰まってしまった。
目の前には、ごくりと息を呑み、輝かしい目でこっちを見つめる、Aがいる。

何を言おうか。…いや、それよりも、おれたちは普段何をしている？
仕事以外……もう、雑談くらいしかしてないんじゃないかとも思えてくる。

だって、ほぼ毎日胡椒さんに、「何処か行って何か盗んできたら？」なんて気軽に言われるから、案外暇じゃないんだなぁ…


「レト、さん…？」

「んん!?え、いや、そう!いつも、いつもは…――」


嗚呼、おれの馬鹿。この後に、何を言おうとしてるんだ――


「暇な時とか、寝てるか飯食ってるか仲間と話してるか、…仕事の説明受けてる時とか…
自分から話振る時は、答えを考えた後にしろって。レトさん」

「うぅ…」


いつもなら、こういう時に、俺が「うるさい」とか言って、ちょっとした喧嘩になるけど、今はちょっとだけ助かった、と思ってしまった。


「ところで……まあ、Aも見習い怪盗ってことで、さ。一狩り行こうぜ」
「い、いいんですか？」
「いいさいいさ」

キヨくんが言ったことにAは遠慮がちに聞く。
……なんか、こうして2人が話してるのを見ると、なんか、こう、美男美女…みたいな感じがして、なんかお似合いだなぁって。

ま、まあキヨくんってなんだかんだイケメンだし。Aも可愛い顔してるんだし。
ああ、もう。なんか、ムカつくなぁ。イケメンずるいなぁ。

「レトさん、眉間にしわよってる」
「……そっか」

おれがそっけない態度をとると、次はキヨくんが顔をしかめる。
眉間、しわよってるよ。

キヨくんはしばらく何か考えてから、ふい、と、またAの方へと戻る。
ああ、なんだ、なんだこの気持ち。

「レトさん」

顔を上げ、声のした方を向くと、そこにはAがいた。奥にはニヤニヤしてるキヨくんも見える。
「なに、どうしたの？」
おれがそう言うと、Aはおれの手をとって、にこりと笑った。


「一狩り、行きましょう！」


この笑顔を前に、断るなんてできない。

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