エゴイストな彼 2nd Ryosuke.Y

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やっぱりクッ……ソ腹立つ！あの男！！！


“鈴谷さん”の言い方もああもうめちゃくちゃムカつく。


ええ、わかってるわ。わかってるから強く言えないんでしょう！


契約延ばしてくれるってあの人が言うから！

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やるせなく椅子に座り込んだ私に先輩が珍しく近づいた。


八重子「なに、もう付き合うことになったの？」


A「…聞いてました？今の話。」


なにがどうなったらあの超絶自己中下衆野郎と付き合うことになるのよ。

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A「八重子ちゃん。やっぱりこの前の撤回します。」


八重子「この前の？」


A「私、あの人苦手です。大っ嫌いです。」


今確信しました。

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あの晩、不覚にも山田さんに揺れかけたのは、


あの人が言った“揺れてんでしょ”って言葉の力と、


誰かに慰めて欲しい包容力と、


失恋して傷ついた心に、珍しく優しかったあの人の良心が沁みたせいだ。

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A「完全なる勘違いでした。」


八重子「…そうかな。」


A「そうです！」


言い切った私に先輩はそれ以上はなにも言わなかったけど。

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A「だって…」


一晩一緒にいたのに。


私は失恋して涙を流してるのに。


あの人は、…山田さんは私に結局手を出さなかったんだから。

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出してほしかったわけじゃないけど。


期待していたわけじゃないけど。


男と女がふたりでいて、特別そういうこともなく、起きる気配すらもなかったし。


多分そういうことなんだろう。

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山田さんは私のことなんて、本当になんとも思ってないんだよ。


手を出す気にもならないくらい。


私にこれっぽっちの興味もないんだ、と気付かされただけ。


一瞬でも恋だと思った自分が馬鹿みたいに思えてくる。

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A「八重子ちゃんも聞きました？」


なのになんで。


八重子「…ん？」


A「山田さんの性格の悪さ！…もう本当どうにかしてほしい。」

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…なんで少し傷ついてるんだろう。

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