エゴイストな彼 2nd Ryosuke.Y

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なんであんな顔するんだろう。


なにか言いたげな。


でも、何も言わなかった。


それはたぶん、逃げるように私があの場を去ったからだと思うんだけど。

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八重子「A。」


それでも、山田さんのあの、なんとも言えないような表情には、どうしていいかわからなくて戸惑った。


私が有岡さんと付き合ってたことも、まだ引きずってたことも、あの人は全部知っているっていうのに。


なんでさっきはあんな...

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八重子「Aってば。」


A「...えっ？」


我に返ると、八重子ちゃんが私の肩を叩いていた。


持っていたペンは無意識にメモの上を走っている。

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...あっぶな。


大事な来客者のメモとかに書いてたら怒られるところだった。


人知れずホっとしたのも束の間。


八重子「5時になったけど。」

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八重子ちゃんは自分の腕時計を指して言う。


それを見ると、時計の長身は５分を過ぎている。


A「あぁ...、」


いつの間にか定時を過ぎていたんだ。

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全然気づかなかったな。


八重子「今日デートなんでしょ？」


何もない日でも急いで帰るくせに、今日はモタモタと帰り支度をする私に先輩は眉を寄せる。


あぁ、デート。

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A「...そうでした...。お疲れ様です...。」


八重子「...お疲れ。」


一体どうしたんだ、という顔をする八重子ちゃんとお別れをして、更衣室へ向かう。


とりあえず制服から私服に着替えて、ロビーで待機した。

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そうしたら数分でやってきた有岡さん。


A「あ、...お疲れ様です。」


大貴「ごめんね、待たせちゃって。」


A「全然待ってないですよ。」

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“行こう”と半歩前を歩く彼の後ろ。


...あれ？


なんか...こんなんだっけ。

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