エゴイストな彼 2nd Ryosuke.Y

34 ページ34

・

・

・

A「あ、払います！」


軽くメイク直しがてら行ったお手洗いから戻ったら座っていたはずの彼はいなくて。


レジの前で会計をしている有岡さんに慌てて駆け寄った。


持っていた財布からお金を出そうとしたけど遅かった。

・









・









・









・

大貴「ん？いやいいよ。」


特に気にした様子も見せない有岡さんが笑った。


A「いや、でもっ...」


どの立場で奢られればいいのかわからないし。

・









・









・









・

既に会計を済ませた有岡さんに続いて外へ出た。


ほんとにいいよ、と財布をしまうように促されたからやむを得なくしまう。


A「じゃあ、缶コーヒーでも奢ります。」


道端にある自販機を指さした。

・









・









・









・

踏み出した足を阻止するように引かれた腕にドキッと心臓が跳ねる。


大貴「ほんとにいいから。」


有岡さんが良くても私がダメなのに。


腑に落ちない顔を見破られたのか。

・









・









・









・

大貴「別に気にしなくていいから。」


気にしてるのはお金のこともそうだけど。


喜んでいいのかもわからないこの立場についてなんだけど。


大貴「また誘ったら一緒に行ってくれる？」

・









・









・









・

A「え...、」


予想外の言葉に次に出てくる言葉が見つからなかった。


そんなこと言われたら本当に勘違いする。


この人はまだ私のことを...

・









・









・









・

A「はい...。」


大貴「じゃあね。」


眩しい笑顔を見せてエレベーターホールへ向かっていく有岡さん。


ハイ以外になんて言っていいかわかんなかったし出てこなかった。

・









・









・









・

A「絶対これワンチャンあるよね。」


八重子「あーはいはいワンチャンね。」


さっきあったことを話さずにはいられない！とすぐさま八重子ちゃんに話したはいいけど。


とりあえず真剣に話くらい聞いてくれ？

・









・









・









・

緩み切った口元を先輩は引き気味だけど。


だってあんなこと言われちゃったらさ。


八重子「復縁も時間の問題じゃない？」


A「やっぱり？！だよね！！」

・

・

・

35→←33

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す