【及川徹】顔が広いってよく言われます【国見英】

4話 なんて考え ページ33

*


「お前！！ふざっけんな！！」




どっ、どうしよう。

飛雄くん_すごく怒ってる。





「俺がバレーに手を抜いてるだって！？もっかい言ってみろ……！！」




とある日。

バレー部員が嫌味交じりに言った言葉が、影山くんを怒らせた。





ザワザワ……


周りは騒いではいても、止めない。

ただ、見守っているだけ。





「だってそうじゃんよ。俺たちに合わせようともせず、ただ自分勝手に"王様"気取ってるだけ。





お前、バレーのこと

何にも分かってねぇだろ」





「……………ッ！！」




胸ぐらを掴まれたその人は、

虚ろな目で飛雄くんを見つめた。





わかんないよ…



なんで皆は止めようとしないの？

皆もほんとは同じこと思ってたから？





ねぇ、飛雄くん…


いくら酷いこと言われたって、

殴っちゃったら…

飛雄くんが…悪者になっちゃうじゃん…




「ッふざけんな！！」




もし今、飛雄くんがほんとに殴っちゃったら？




飛雄くんは____孤立、しちゃう？




そんなのダメだよ。絶対やだ。





ダメ、飛雄くん___ッ！！








『 飛雄くんやめてッッ！ 』




私は 今にも飛びかかりそうな、飛雄くんの腕をガシッと掴んで、

大きな声で、叫んだ。



皆がビックリしてる。





『 …お願い、やめて… 』






「…A…なんでお前…」







いやだから。

飛雄くんも、皆と一緒に笑い合ってほしいから。

だから、ダメだよ。




『 …………来て！！ 』

「うわっ、ちょっ……」




皆の目なんて気にせずに、

飛雄くんの腕を引っ張って歩いた。




「…？おい立花、練習は…」


『 影山くんとちょっと抜けます！練習再開してください！ 』


「お、おう…」






…神様。

みんな仲良く、みんな笑顔で。

…なんて考えは、甘いのでしょうか。








*




「A…なんで影山ばっか構うの？おれにも構ってよ…」



あぁ..ホント、ムカつく。

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