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今になって思い知る、
いちばん単純だったのは俺だ。
A先輩の行動に一喜一憂!
うかれて凹んでうかれて凹んで!
照れ隠しに毒舌はいちゃう!
なんだこれ!俺じゃないやん!
俺じゃないやん!
振り回っされっぱなし。
あああ、意外と繊細な俺の心が削られてく。
気づいたらめっちゃ先輩にハマってる。
こんな人のこと好きになる?ってくらい愛おしくて愛おしくて
その分、他のやつのモノになるのかと思うと壊したくなるくらい。
やべえ、おれ。
どうかしてる。
「ね、重岡くん」
ぱっちりした目が、俺をうつす。
電車の中では俺の方を見たなかった瞳に、
俺がうつってる。
ずっとずっとこうなることを願ってたんかもしれない。
電車で出会ったその時から。
「濱田先輩ね、私たちが付き合ってるの知らなかったんだ」
「そうなんすか?まああの人、噂とか疎いしな〜」
「たぶん、私と藤井が付き合ってた、って認識してたんだと思う」
泣きそうな顔で俺を見る。
え?泣くとこ?
もしかしたら、俺、ちょっと顔強張ってるんかも。
藤井先輩の話に敏感になってるのは、自分でも自覚済み。
「こういうことなんだね。」
「こういうこと、って?なにが?」
「濱田先輩、私と藤井が付き合ってるって思ってたんだ、きっと。ちがうのに。ごめんね。重岡くん、ずっとこんなに苦しかったんだね」
「…A先輩、くるしいの?」
「くるしいよ……。さっき、濱田先輩の反応みてショックうけたの」
「…」
「好きな人をちゃんと認識されないのは、くるしい。つらい。」
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作者名:ゆい☆ | 作成日時:2014年12月15日 17時