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あの日も、いつも通り俺はその電車に乗った。
で、やっぱいつも通り女の人も乗り込んでくる。
忘れもせえへん
暑い暑いクソ暑いあの日。
女の人は、男を連れていた。
前に何度か見た奴ではなく、
なんかえらいイケメンの奴。
新しい彼氏？そう思ったけど、様子を見る限り、どうもちゃう。
で、ここからが重要なんやけど。
女の人は、ベロッベロに酔っ払ってた。
で、
泣いてた。
「どして？わたし……がんばってるろに」
「おん。わかっとるよ。」
「どして……っ……こんにゃにがんばってるろに…どろくしてるのに…」
「おん。わかっとるて。土屋は頑張り屋さんやて、わかっとるて。」
「なにそれぇ……ふじーのくせにナマイキ！」
「はあ？」
ふふ、って笑う男。
びっくりするくらいその顔が優しくて、なんや見たらアカンような気がしてきた。
ツチヤさん、ていうんや。
この男、そう呼んでた。
呂律回らへん程酔ってるって…
今まで1回もこんな様子の女の人…ツチヤさん、に遭遇したことなんて無くて
なにあったんやろ、ってイメチェンしたときみたいに考えてみる。
なんやろ……
頑張り…努力……、仕事でミスしたとか？
「わたし……男に生まれたかった」
独り言みたいに、ぽつんと聞こえたその台詞。
男の顔が、少し歪む。
「女だからって………みんな…ひどいよ……」
ぽつり。
呟いて、体が横に倒れてく。
男に寄りかかって、寝てもうた。
男は、頭に手を伸ばそうとして、躊躇して、止めた。
なんやろ、すごく
すごく、大人の世界をみた気がした。
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2014年12月15日 17時
