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「おはよございまあす」
わざわざ顔を覗き込んで言う。
いきなりズルいの使ってくる。神技。
朝から心臓に悪い…!
しかも私がそういうのに弱いって知っててやるんだからもう完璧確信犯。
きらんて歯みせて笑って
自分の席、戻ってく。
重岡くんとの一件から数日。2人とも何事も無かったみたいに過ごしていく。
藤井とは、相変わらず。でも時々、重岡くんの視線を感じてさりげなく離れたり。
ちょっとぎこちないけど、少しずつ毎日がまわってく。
「なに今の!なにその雰囲気!」
「あ濱田先輩、おはようございます」
「おはよ、いやちょ待てや!なんなん今のシゲとのやりとりは!!」
「知りませんよ、私が困ること、やりたがるんですもん。」
「なんやまるで恋人みたいに!」
「だから仕方ないんじゃないですか」
今日は昼過ぎから会議だから、
これ先にやっちゃおう。そしたら午後スムーズだよね。
淡々と作業を進めながら、なかなか返ってこない返事を不思議に思って
資料から目を上げて濱田先輩をみたら
ぽかん、と口開けて
ちっちゃい声で、えっ?えっ?ってずっと言ってる。
「どうかしました?」
「…だって今の土屋の返事…」
「ほんっとに意地悪が大好きみたいで。でもそんな重岡くんも可愛いとか思っちゃうから駄目なんです、はあ。」
「……」
「惚れたものの弱み、ってまさにそれです」
「……もしかして、付き合ってんの?」
「なにを今更!一時期あんなにもあーだこうだと噂になったじゃないですか」
あ、そう…って気が抜けたみたいに返事してる。
もしかして、…うそ、知らなかった?
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作者名:ゆい☆ | 作成日時:2014年12月15日 17時