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「そういうのは直接本人に言って」
「藤井先輩のこと、好きなんですか?」
「まさか!ただの同期だよ」
「じゃあ応援して下さい」
もうなにこれ〜!
やだ!逃げたい!!ここから逃げたい!!
なんで人に頼るの!
自分で解決しようよ!
「それは……無理……」
「……」
「…ごめんね、でもそういうのはさ、」
ガツーン
トイレに鳴り響く衝撃音
壁に当たって落ちた
彼女の持っていたマスカラ
「土屋先輩、ほんと嫌いです」
「ご、ごめん…」
「先輩ばっかり、ずるい」
「ばっかり…?」
「もういいです」
またカツカツとヒールを鳴かせて
トイレを出て行く彼女。
それを追いかける女の達。
残された私と、
床に転がるマスカラ。
黒いパッケージのそれは、
投げたときについたのか、白いキズがついてしまってて。
なんか、私みたい、って
ちょっと思った。
それでトイレから戻ったら、
藤井がちょこちょこと寄ってくる。
さっきまで話してた張本人だから
なんかやだなぁって思ってたらこっちこっち!ってグイッて手を引かれた。
そんなのよくあることで、
特に意味は無いのに
少し遠くで、さっきの女の子が此方を見てるのに気づいて
「や……っ、」
思わず、
その手を振りほどく。
「……」
「ご、ごめん、なんかごめんね」
「お、おん…」
藤井の傷ついた顔がみえて
なんだか取り返しのつかない事をしてしまったようだった。
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作者名:ゆい☆ | 作成日時:2014年12月15日 17時