笑顔をみせてよハニー！【D.S】 (ページ2)

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「土屋、藤井、ちょっと来て」

騒がしくなってきた朝のデスクに、
中間課長の声が響く。

前の部の上司は、私が女だからとグチグチ言う人だったけれど

数年前に配属されたこの部の中間課長は、そんなこと一切言わないし、女だからと差別しない。

まだ30辺りらしいが、課長だなんて、なかなかのやり手だ。

一緒に呼ばれた藤井は、同期だ。

普段は寝てばかりで、その無駄に綺麗な顔を殴りたくなるけれど
スイッチが入ると集中力が凄い。

だから、かなりライバル視してる。向こうがどうかは知らないけど。

同時に、気さくに話せる人の1人だったり。
藤井も、女だからとか言わないからだ。

「こんな朝っぱらからなんだろね」

「なんか土屋がやらかしたんちゃうの～？」

「は？藤井じゃないの～？」

ニヤニヤとお互い探り合いながら、
中間課長のデスクまで行く。

「今日から新人はいるんやけど。その教育係、任せるわ！」

「あれ、教育係だってよ」

「なーんや、土屋がやらかしたんちゃうんや」

「やかましい」

藤井とは、いつもこんなくだらない話ばっか。

ほんとくだらない。
でも、結構楽しい。

2人で新人が待ってるという部屋に向かって、
ガチャリとドアを開けた。

「あ、はじめまして小瀧っす！」

いきなり立ち上がって挨拶をされる。

おおっ、と藤井とアイコンタクト。

「お、結構イケメンじゃん。」

「てか身長高いね。藤井よりあるんじゃないの」

「183あります！」

「高いっ！」

「俺はじめて負けた…」

んふふ、って笑い声。

小瀧くんの、隣に座ってる子が
口に手を当てて笑ってた。

「重岡です。」

視線が合った彼はそう言って

にっこにこの笑顔をみせた。