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「 はーよーこーいーやー 」
玄関先で貧乏ゆすりをしながら待っている廉に
「 待って！あと1分！ 」
と鏡の前から叫んでみると
「 3回目やぞ！ 」
ブチ切れそう、いや既にブチ切れてる声が聞こえた。
前髪がどうしてもうまくいかない。
少しくらい見栄えがいい状態で登校したくて必死。
「 何してんねん、ここ寒いんやで！ 」
「 煽らないで！ 」
「 煽らせるようなことしてるん自分やろアホ！ 」
文句を言われて仕方なく廉の元へ。
外に出れば昨日のような雪が空中に舞っている。
結局風で前髪は即死した。
「 廉 」
「 あ？ 」
信号待ち。
海人と復縁した立場でまた廉と二人で行動しているのを
クラスメイトや同学年に見られたら面倒なので
この信号が青に変わったら歩幅を変えて歩いて行く。
「 廉ってバカなの？ 」
「 は？待たせた上に喧嘩売ってんの？ 」
「 スペア無くても鍵置いていけばいいの気付いてる？ 」
歩行者用の青の信号が点滅している。
そろそろ横断歩道を渡れる時間だ。
「 ね、廉。バカだよね 」
「 ……るさい、気にすんなアホ 」
マフラーで口元が隠れているけど笑っているのが分かる。
信号が青に変わった。
「 先に出て行く時は鍵置いていってね、廉くん 」
「 うるさい 」
歩幅を変えて先に進んでいく背中を見て笑った。
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月27日 17時
