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支えていた身体を離して元々座っていた場所の隣に
ちょこんと腰を下ろした海人は
いつもの笑顔で「 なんか久しぶりだね 」と言った。
再び腰を下ろして海人の隣に並んで座る。
席替えをして以来並んだことがなかったので
本当に久しぶりだった。
「 毎日教室で会ってるけどね 」
「 だけどこうやって二人で話すの久しぶりでしょ。
元気だった？…って質問はおかしいか 」
膝を抱える体勢で座っている彼は小さく笑う。
「 元気だよ。あ、海人が元気なことは知ってるから 」
「 俺うるさいもんなあ…廉と隣になったよね、席 」
海人の口から聞く廉の名前も久しぶりだった。
あれだけ仲良しだった二人も疎遠になっていたから。
「 だからって何も変わってないよ 」
「 そうなの？噂では付き合ってるって 」
「 そんなの嘘だよ。付き合ってないよ 」
「 じゃあ廉のことはどう思ってんの？ 」
「 仲良い男友達かな 」
「 なーんだ。そうだったんだ。
距離置いた時も別れた時も俺しか話してなかったもんね 」
足元を見て呟いた言葉は海風で流れていく。
「 Aの話何も聞かないで手放しちゃった。
今更だけどごめんね、A 」
「 いいよ。気にしてない 」
後ろに両手を置いて空を見上げた海人。
カモメが気持ちよさそうに空を飛んでいる。
あんな風に自由に飛べたらなあ。
「 …ねえA 」
しばらくして私の名前を呟く。
カモメから隣の彼に視線を移して返事をした。
「 俺らもう一回やり直せないかな 」
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月27日 17時
