甘ったるい彼等④【短編集】(雪男) (ページ10)

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照 side

ごめんしか言わないし、入らないでと閉め出された扉の内で一人で頑張ってんのも分かってんのに、外で待つことしか出来ない自分にちょっと苛ついて。

出てきたAの顔を見て、あぁ泣いちゃったんだなって
独りで泣かせないために俺が居るのに、痛いのも悲しいのも全部半分こできたらいいのにとその体をぎゅっと抱き締めた。

『つかまっててね？』

コクンと頷いたのを合図に向き合ったままAの体を持ち上げ、そのままリビングへ向かう

「…起きるの？」

『んーん、寝るよ。その前に一緒にココア飲も』

ソファーへ降ろそうとしたら、何も言わず首元へ顔を埋めて
ちょっとだけしがみつく力を強めるからそのままキッチンに入る

「重い…？」

『ふはっ、負荷のふの字にもなってません』

しんどくて甘えたいくせにそんなこと気にするAが可愛くてしょうがなくて、緩んだ顔のままココアを作って２人で飲んだ。

.

温かいものを飲んで少し痛みも和らいだのか、先刻よりも幾分穏やかな表情になったAと再びベッドに潜り込む。

「ひかる、ごめ、」

『ごめんは欲しくないよ』

「…ありがと」

『うん、こっちこそありがとう』

「ん？」

.