甘ったるい彼等④【短編集】(雪男) (ページ6)

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you side

行き先を翻したって家は遠退くし、このままラウを撒いたところでややこしくなるのは分かっているのに、逃げる足は止められなくて。

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『…僕に言えないこと？』

肩を掴まれ俯くことしか出来ない私の頭の上から、今まで聞いたことの無い弱々しい声が聞こえてきて、思わず顔を上げる。

「ごめんラウ、泣かないで」

潤む目がマスクの下の口元を想像させて心が痛んだ

『…まだ泣いてないよ』

震える声で抗議してくるからいたたまれなくなって、タイミング良く走ってきたタクシーを捕まえて、たった２メーターの距離を手を繋いで過ごした。

車内でも一言も発さず不安そうにしていたラウを部屋に促し、玄関からなかなか上がろうとしない彼の腕を引いてそのままリビングに直行する。

「まずはその、、逃げるみたいなことしてごめんなさい」

『ううん…僕も、予定の邪魔してごめん
　誰かと会う予定だったりした、よね…？』

「予定は無いの、ほんとに」

『え、じゃあ？』

「ぁー…あのね…」

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