甘ったるい彼等④【短編集】(雪男) (ページ21)

今日:198 hit、昨日:420 hit、合計:131,962 hit

【🧡】ブザービートページ21

you side

＿『かえるー』

と、ひらがなオンリーな文章が送られてきた深夜二時

＿「はーい」
＿『かえるねんー！』
＿「分かったけど、飲みすぎた？」
＿『いけるー！』

まともな返答は返ってこないし
これは珍しく酔っぱらっているなと迎え入れる準備を整える

そろそろかなと地下の駐車場で待ち構えていると１台のタクシーがやってきたので、中が康二くんであることを確認し、連れだと伝えドアを開けてもらう

「すみません、ありがとうございました」

もたつく彼に代わって支払いを済ませ、肩を担いでなんとか車から引きずり降ろした。
　

.

『なぁ、なんでちゅーしゃじょーおるん！』

「お迎えのためです」

『あかんやろー！こんな遅い時間に！』

「誰なん？LINEして起こしてきたん」

『んふふ、おれぇ』

「もう…いいから、ちゃんと歩いて」
　
『冷たない？なぁ、つーめーたーいー』

「シー！声が大きい、部屋入るまで大人しくして」

こんなで部屋までいけるのか…？と心配していたけれど、車から降りると思ったよりも足取りはしっかりしていて、エレベーターや廊下でひっつき虫になる彼をいなしながらなんとか部屋の前に辿り着いた。

.