甘ったるい彼等④【短編集】(雪男) (ページ3)

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蓮 side

『好きだな』

意識無く口から出たその言葉

「私も。すーごいいい匂いだもん、知れて良かったな」

『ふはっ、ちがうよ』

「ん？」

『Aが、好きだなって』

大きな目を更に大きくして俺を見つめるAにもう一度

『何よりAが一番好きだよ。
　今日はご褒美ほんとにありがとう。
　Aが居たから頑張れた。』

「…私も大好き。ほんとにお疲れ様でした。」

長かったような、一瞬だったような
そんな怒涛の夏が過ぎて訪れた、ご褒美の秋

どれだけ忙しくてもファンの皆に恩返しするために頑張れるし
信じて支えてくれるメンバーもいる。

俺が走るためにはどれも必要不可欠で
時計の部品のように何一つとして欠けてはいけない。

もちろん、Aも。
なんなら何より大きな部品で、取り替えがきかないから
何より大切にしなくちゃいけないと改めて思う。

『ありがと、来年もまた来ような』

愛してるの思いを込めてもう一度キスを贈った。
　

.

.

「はぁ…金木犀見かける度、蓮思い出しちゃうよ」

『なんで困ってんの(笑)』

「だってこんなのセットで覚えちゃったんだよ？会いたくなっちゃう…」

『いつでも会おうよ』

「ん？」

『一緒に住もう？』

「…えっ？！」

『びっくりしすぎ(笑)目、落ちちゃうよ(笑)』

「お、ちないけど、、え？ほんとに？」

『落ち着いたら物件探しに行こって言うつもりだったんだ』

金木犀が咲く度、何度でも二人で一緒にこの日を思い出そうよ。

Fin.