甘ったるい彼等④【短編集】(雪男) (ページ15)

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大介 side

「泣くの、ずるい」

『ぅん、ごめん』

「私が泣きたいのに」

『ほんとにごめん…』

Aはちらりとこちらを一瞥すると、またキッチンに向かってしまうから慌てて後を追う。

…捨てられてしまうのだろうか、俺ごと

不安でまた喉の奥が熱くなってくると、Aが袋の中から中身を取り出した。

「このピアス、シリウスがモチーフなの」

『…シリウス？』

「そう。一等星って言ってね
　星たちの中で一番明るくて一番輝いてる星。

　大ちゃんは私にとってこの子なのに」

そこまで聞いてたまらなくなってまた抱き締めると
今度は抗わず背中に手を回してくれるから腕の力を強めた。

『ほんとにごめん、』

「…あんなの貰ったって、嬉しいわけない。入ってるのだって知らなかった」

『ごめんなさい。勝手に不安になった…』

「うん、私も知らない人って嘘ついてごめんなさい」

でももう大ちゃんしか見えないよって微笑むAがあまりに眩しくて、吸い込まれるようにキスをした。

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