甘ったるい彼等④【短編集】(雪男) (ページ12)

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【💗】一等星ページ12

you side

外までお見送りしてくれるタイプのお店ってちょっと苦手

店を出るまで微妙な距離を保ちながら歩かなきゃいけないのがどうにも恥ずかしいし、店前でにこやかに別れなくちゃいけないのも照れ臭くって得意じゃない。

今日は特に＿＿＿

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彼に一番似合うものはどれかと散々悩み、＜贈り物ですか？＞と接客してくれたお兄さんと20分はショーケースの前に張り付いて、やっと決めたソレ。

そこまでは良かったのだけど

「ラッピングお願いできますか？」

＜かしこまりました。……あの、彼氏さんに、ですよね？＞

「あ、はい」

＜やっぱりそうですよね…
　お綺麗だからもっと早く出会いたかったな、なんて＞

「えっと、、」

＜あぁすみません、なんでも無いです！少々お待ちください＞

バタバタと裏へ入っていく彼の後ろ姿を見送って息を吐く

露骨な好意を向けられて少し動揺はしたものの
トキメキなんてものは一切感じなかった。

スッキリした目元の塩顔高身長、低い声とは裏腹ににこやかに笑いかける顔は涼やかで、こんな人が好みだった時期もあったなと過去に耽る。

店員さんも素敵だとは思うけど、今はもう彼に出会ってしまったから。大きな瞳を三日月型にして笑う顔を思い出していたら一刻も早く会いたくなった。

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『およ？Aじゃーん！』

店先でのお見送りに精一杯の愛想笑いを浮かべ歩き出したところで聞きなれた声が耳に届いて顔を上げると、お気に入りのバケハを被った彼がぶんぶんと腕を振りながらこちらへ駆けてくるのが目に入る。

『お買い物？』

「、うん」

『そか！いいの買えた？』

うんと相槌を打ちながらも、先程店に引っ込んでいった彼が出てくるなんてことはないだろうかとそちらに気が取られて仕方ない

あぁ、早くここから離れたい。

『A、あの人知り合い？』

「ん？」

ほらあれと指差す先には先刻の彼。
店内からこちらを見ているようだった

「んーん、しらない。大ちゃん行こ？」

『…そう？』

嘘を吐くのはイヤだったけど、全てを説明すると少々面倒くさいことになりそうだったから、早々に話題を変えて帰路に着いた。

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