甘ったるい彼等②【短編集】(雪男) (ページ9)

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亮平 side

大雨が降る日、たまたま寄ったコンビニで見つけた彼女

泣いていないだけで、悲しみと寂しさを全身に纏っているような
その姿に、気付いたら車を目の前につけてしまっていた。

デビューが決まらずくすぶっていた俺は、親族からは就職の提案をされ、後輩のジュニアたちからは距離を取られるようになっていて、吐き出し様のない靄を心で拗らせていたのだと思う。

そんな行き場のない思いをこの人になら当てても良いかな
深い悲しみの底に居るなら今俺にどうされても同じかな…

なんて、本当に最低で自分勝手すぎる気持ちで
気付けば助手席に誘い込んで車を走らせていた。

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『ねぇあのさ、、』

「私ね、今日彼氏に振られたの」

全てを終えたホテルのベッドの上で、煙を纏いながら俺の言葉を遮って話し出したAちゃん

『……そっか』
「だから、しばらくそういう人は欲しくない」

『じゃあ…オトモダチはどう？』
「オトモダチ？」
『そう』
「オモトダチか…」

付き合うつもりはないと壁を作られたことは理解した

俺も軽はずみに誘ってしまったから、一夜限りだと思っていたけど、あまりにもな相性だったから手放したくないと思ってしまって。

だから"トモダチ"なんて安い関係でAちゃんに縋った。

「…それならいーよ」
チュッと触れるだけのキスと共にくれた返事が
この長くて苦しい関係の始まりだった。

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