甘ったるい彼等②【短編集】(雪男) (ページ7)

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【💚】かさぶたページ7

亮平 side

「ね、あれ欲しいな」

電子タバコの加熱を待ちながら、広い夜景を見下ろすAちゃん

一吸いして煙を燻らす姿があまりに綺麗で、何度見たって見惚れてしまう。

どれ？と近付けば、お台場にある大きな地球儀のようなものが付いているテレビ局を指差していた。

『買ってあげるって言ったら？』
「えぇ？んー、私が独占しちゃうのは勿体無いから断る、かな」

いつもそう
欲望はあるくせに、手にすることは拒む彼女

「ほんとに強請ったら、亮平何とかしそうで怖いし」
『Aちゃんが欲しがるならね、努力はするよ？』

「じゃあやっぱりいらない」とまた窓の外に気を向けてしまうので、隣に移動して腰を抱いた。

『ここ、覚えてる？』
「……ん？」

ほらまた適当にはぐらかす
でも今日は俺も折れてあげられないんだ

俺の長い呪縛を解くために、わざわざ出会った日と同じホテルを選んだんだから。

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『ねぇ、何でもっと貪欲にならないの？』

「…だってそういう約束でしょ？」

こんな言い方は意地悪だと自分でも思う
彼女の言う"約束"を取り付けたのは紛れもない俺なのだから。

綺麗に微笑みながら答えるAちゃんに他意はないのだろうか、窓に反射する表情からじゃ読み取ることはできなかった。

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