甘ったるい彼等②【短編集】(雪男) (ページ32)

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涼太 side

康二に俺がAに連絡を返せなかった理由を伝えると
ぽかんとした顔をして「本末なんとかやん！！！」と叫ばれた

康二「だてがそんなに鈍臭いとはなぁ～。はよ仲直りしてな！
俺この話の続きAちゃんから聞きたいからさ」

何度目かのありがとうを康二に伝えて別れ、その足でAの家へ向かった。

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もう手遅れかもしれない。でも顔を見てきちんと謝りたくて、
合鍵は使わずインターホンを鳴らした

「えっ」と戸惑った声が聞こえて、しばらく沈黙が流れたあと
オートロックが解除され、自動ドアが開く

Aの部屋の前に到着して、もう一度インターホンに伸ばした手が震える。こんな醜態を晒してでもAとの溝を埋めたいと思う。

ドアを開けてくれたAを抱き締めると「…離して」と胸の中から拒否され、そうだよな…と凹む。康二への連絡を見てうぬぼれていたけど、また元のように付き合い続けてくれるとは限らない。

俯いていて表情の見えない彼女がリビングへ向かうから、静かにあとに続く。ダイニングテーブルに向かい合わせに座ってようやく目が合った。

『A、本当にごめん』
おでこが机に付く勢いで頭を下げる

「…ねぇ、涼太は何に謝ってるの？
　一週間も連絡しなかったこと？
　浮気を疑ったこと？
　向井さんに謝るように言われて来たなら帰って」

また泣かせてしまった。
あの日、俺を追い出す時にも涙を流していたと気付いていたのに
俺は引き返さなかった。こんなにも彼女の心を傷つけて縺れさせてしまったのは紛れもなく俺なのに。

『康二のことも連絡も、Aを傷つけたことも全部…
　この一週間、怖くて連絡できなかった
　きっと振られるって思ったから。別れたくなくて逃げてた』

「私の気持ちは…？どんな思いで過ごしてるか考えなかった？」

『考えた。考えたけど、マイナスな方にしかいかなくて
　ほんとに意気地無くてごめん。』

『もう振られたって仕方ないと思うんだけど、これ。』

タイミングを図りすぎたせいで、こんなになってしまった俺たち

用意もまだ完璧じゃない。でも俺の気持ちを伝えるにはもう明かしてしまうしかないと決心した。

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