甘ったるい彼等②【短編集】(雪男) (ページ31)

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涼太 side

Aと付き合いだしてから初めての喧嘩
あの日からもう一週間が経とうとしていた。

自分がこんなに臆病だとは思ってもみなかった。あんな風に彼女を疑って話を終えてしまったから、次に連絡をしたなら振られてしまうのではないか…と考えてしまってLINEも電話もできずにいた

康二「だて、今日ご飯行かん？もー仕事終わりやんな？」

『二人で…？』

康二「おん、ちょっと話したいことあるし」

今は少し距離を置きたかった彼に誘われてやってきた居酒屋
康二が適当に料理を頼んで、卓上が満たされる

康二「ほな乾杯！」

『うん、乾杯』

ビールを1/3ほど飲み干して「かぁー最高！」と笑う彼を見て、
Aはこんな無邪気なところに惹かれているのかなと考えてしまってご飯に手を付ける気が起きなくなってしまう

　

『話って？』

康二「あー、だてさ、なんか俺に聞きたいことない？」

『聞きたいこと…』

ある。けど、その答えを聞いて俺が受け止められるか、今までのような関係性で康二と居れるかを考えると口にするのを憚られる

康二「Aちゃんと喧嘩してるん？」

『なんで？』

「見て」と自分のスマホを寄越す康二
画面を見ればAとのトーク画面で、「全部見てええよ」と言うから手にとって全てを読んだ

康二「こんなにだてのこと想ってくれてる子が俺と浮気？」

＜突然すみません、涼太は元気ですか？
向井さんにご迷惑を掛けているのは重々承知しているのですが
今、彼と連絡を取れない状況で…＞

康二「Aちゃんから初めて連絡来たと思ったらこれやもん
びっくりして電話したら、だてから連絡来んくてめっちゃ心配で、こん時みたいに俺に安否確認しようと思ったら浮気疑われたって」

あぁ…俺は何てことをしてしまったんだろう

康二「俺がしつこく聞いたから連絡取られへん理由教えてくれたけどさ、Aちゃんちょっともだてのこと悪くゆーてなかったで。信じられへんわ、心配を無下にされて潔白やのに疑われてさ、俺やったらビンタして振ってるかも知らん」

『康二、ごめん…』

康二「謝る相手間違えてるやろ。そら俺だって、大事な仲間で大切な友達の彼女取るような男やって思われてたんかって思ったら悲しかったけどな」

『ほんとにごめん』

康二「ふはっ(笑)嘘やって！そんなん思ってない！ただ、だてがそんだけAちゃんのこと想って心配したってことやろ？それちゃんと伝えたりや」

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