甘ったるい彼等②【短編集】(雪男) (ページ30)

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you side

こぼれてしまった涙を拭ってリビングへ戻る

キッチンには肉じゃがの用意とデザートのフルーツたちが置かれていて、あぁ今日も私のことを思ってスーパーに寄ってくれたんだなと胸がチクりと痛んだ

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もう寝ようとベッドに潜りスマホを開くと、お風呂に入っている間にLINEが何通か届いていたようだった

＿『今日は本当にごめん。
Aのことが本当に好きで大切なのに、あんな気持ちにさせてしまった自分が情けなくて仕方ないです。
きちんと話をさせて欲しいから、明日また行ってもいいかな？』

こんなモヤモヤした気持ちで過ごさないといけないなら、今日のうちにちゃんと話し合っておけばよかったと自分も後悔しているから、すぐにでも会いたい気持ちはある。

でも生憎、明日の夕方から三日間の出張に出る予定が入っていて

＿「ごめん、しばらく会えない」

そう返信するとすぐに既読が付いて、スマホが震えた。

＿「もしもし、、」

＿『遅くにごめん、もう俺とは会いたくないってこと…？』

＿「そんなことないよ。ただ、」

出張なんだよ、と言おうとしたのに被さって『康二？』と言われ
怪訝な声が出た

＿「え？」

＿『だから、康二と何かあるの？』

＿「いや、意味分かんない。なんで向井さんが出てくるの？」

＿『連絡しようとしてたから』

＿「いや、あれはっ」

＿『ごめん俺も頭冷やす。変なこと言ってごめん、おやすみ』

一方的に切られてしまって、また血が沸騰してくる
でもたぶん今日はこれ以上やりあっても良い方向には進まない
寝てしまおうと、スマホの電源を落として無理矢理目を瞑った

悔しくて悲しくて、なかなか寝付けない暗闇の中思い返す。

彼とは小さな口喧嘩ひとつしたことがなかった
涼太は自分の思いをきちんと口にしてくれる人で、私もどちらかと言えば素直に言葉にするタイプだから、すれ違いが起こる前に理解し合えていた。

でも今日は何かを隠している気がするし、変な疑いを掛けてくるのも涼太らしくない。

心にしこりを残したまま出張へと旅立った

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