甘ったるい彼等②【短編集】(雪男) (ページ19)

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大介 side

『ほい、ここにお座りくださーい』
「なに？」

鏡の前で一緒にスキンケアをして、頭にタオルを乗っけたAをソファーへ連れていく

ソファーの上に俺、地べたにAを座らせ
足で挟むように固定すれば

『即席、さっくんのドライヤー屋さん！』

「わぁ！」

『熱くないですかぁ？』

「だいじょーぶでーす」

タオルドライを念入りにして、ヘアミルクとヘアオイルをつけ、
クシで梳かしながら風を当てていく。だてにピンク髪やってないからね、ケアの知識はバッチリなのよ

ふと目の前のテレビに視線をやると、消えた画面に反射する
うっとりとしたAの顔。やばい…グッときた

また抱き締めたくなる気持ちを何とか鎮め
最後に冷風で仕上げてあげれば、サラツヤ髪の出来上がり

「気持ちよかったぁ、ありがとぉ」
『いいってことよ』

「ここはいつオープンしてるんですか？」

超可愛い顔で振り返ってくるから、うっかり『いつでも』と言ってしまう

「わぁ嬉しい！通いますね！」

『お代は体でお支払いただけますかぁ？』
「はい！」

満足げなAにふざけたおねだりをしてみると、即答でイエスが返ってきてちょっとびっくり

『あ、いーの！？』
「いいよ！だって髪の毛こんなに綺麗にしてくれるんでしょ？」

『それはまぁもちろん…』
「じゃあいい！」

『ねぇ、俺以外にさせないでね？』
「当たり前でしょ？」

まず他の人とそんなシチュエーションにならないよと笑い飛ばす
Aだけど、Aにとってヘアドライがそんな重いお代を払えるほどのものだとは思ってなかったからさ？ちょっと不安になっちゃったよ。

「大介のだから気持ちいいのかな？」
と聞きようによっては…な発言までするから

『絶対だよ！？髪乾かすの俺の特権ね！お代も俺にだけ！』
とめちゃくちゃ釘さしといた

Fin.