甘ったるい彼等②【短編集】(雪男) (ページ13)

今日:252 hit、昨日:465 hit、合計:201,549 hit

| ページ13

ラウール side

"こーゆーの"とは互いに相談無しで決めたことが何故かぴったり相手にハマることを指している

たとえば、共演者さんからの差し入れで廊下にずらりと並べられていた美容品を持ち帰ったとき。
しょっぴーはどれにしようかと目を輝かせていたけれど、あまり興味のない俺にはさっぱりで、色味と形で選んだバスボムは、Aちゃんがネットの争奪戦でゲットできなかった代物だったらしく、大いに感謝された

たとえば、帰りに買ったアイス。
Aちゃんはまだ帰宅していなかったので、喜ばせようと冷凍庫を開けると全く同じものが鎮座していて笑ってしまった

その日の夜「アイスあるんだよ～」と得意気に言ってくるAちゃんをニヤニヤと観察していたら、「えぇ？！４つに増えてる！」と想像通りに驚いてくれて大笑いした

たとえば、小さな喧嘩をしてしまったとき。
それまでは口も聞かないくせに、唐突な『「ごめんね」』のタイミングが被るから、可笑しくなって喧嘩の内容なんてどうでもよくなる

たとえば、仲良くしたいなと思うとき。
擦り寄りに行くと、決まってAちゃんも甘えてきてくれるから、俺たちにイエスノー枕は必要ないと思う

.

『気まぐれがハマるなんて相性バッチリじゃんって思ってたけどさー』

「うん？」

『これさぁ、俺たちが似てきてるってことなんじゃない？
　一緒に居すぎて思考が似てきてるんだよ』

「そうかも(笑)」

『ね、絶対そうだよ
　じゃあさ、俺が今何したいって思ってるか当ててみて？』
　

「うーん…
　おでこは叩かせないからね？」

『うわ、、マジじゃん無理無理』

「え、ほんとに当たった？？」

『頭ん中見えてるの？』

「フフフ、見えてるよぉ、何でもねぇ」

『ねぇやだこわい！(笑)』

「Aちゃん大好き、ボク幸せとも書いてありますねー」

『あぁそれも当たりだ
　んは！照れるなら言わなきゃいいのに、かわいいなぁ』

「やだぁもー」と照れ隠しにフルーツを頬張るAちゃんの唇を奪ったら、さわやかな夏の味がした

Fin.