甘ったるい彼等②【短編集】(雪男) (ページ2)

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翔太 side

毛玉こと"こだま"は元々Aが飼っていた真っ白なヨークシャーテリア。

密度の高い毛並みをまんまるくカットしたところ、某ジブリキャラの"こだま"を連想したのでそのまま名付けたらしい。

初めてこだまの写真を見せてくれたとき「こだまって言うの」と
教えてくれたのを『え？けだま？』と聞き間違えたところから、
密かに"毛玉"と呼んでいる。

Aにバレると「もう！！しょうりって呼ぶよ？」と、一文字違うだけで別人になるでしょという意味の注意を受けるのだけど、怒り方独特で怖くないし、むしろ可愛くて反省できない。

同棲し始めてやっと仲良くなってきた俺たちだけど、Aを取られると思ったのか、初めて会ったときから警戒心丸出しで、威嚇・甘噛みのオンパレード。ダメになった靴下は数えきれない。

多分こいつは、俺のことをご主人様ではなく"ライバル"だと認識しているに違いない。

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『はい、ごはん。待てだぞ
　……ってお前、ほんと話聞いて？』

俺の号令などどこ吹く風で、一心不乱にお皿に顔を突っ込む毛玉

たっぷり遊んで、お腹も満たされると満足したのかハウスに戻ってもう一度寝る体勢を取りだした。

動物ってほんとに本能に忠実で羨ましい。

けどまぁ、寝てくれた方が都合が良い
起きてるとお前のママはお前ばっかに構っちゃうから

『おやすみ』とひと撫でして俺もベッドに戻った。

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