51.嫌いになれなかった話・後編 ページ4
❁︎
「凪ー！」
「っ……」
やめて。
そんなキラキラした目でボールを追いかけないで。
なんでそんなにサッカーに夢中になれるの？
サッカーは私から冴と凛を奪ったのに。
「……サッカー……なんて…っ」
嫌いだ。
ずっと嫌いだった。
キラキラした気持ちでサッカーを見ることが出来たことなんて、一度たりともない。
「…」
それでも。
それでも、私の大好きな冴も凛もサッカーが大好きだった。
好きになりたかった。
二人が愛してやまないスポーツを私も愛したかった。
「ほっ」
誠士郎くんの足がサッカーボールを操るようにする。
そして、そのまま――。
バンッ
「……サッカー…、…なん、て……」
嫌いだ。嫌い。嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い
「……………………………………――綺麗」
ゴールしたと同時に誠士郎くんはその場にへたりこむ。
そんな誠士郎くんの頬をペシペシとする玲王さん。
「……」
ずっと、ずっと嫌いだった。
嫌い……だった。
「…っ……」
雫が頬を伝って地面へと落ちていく。
「ひくっ…っ…」
あぁ――サッカーって、こんなに綺麗だったっけ。
「…嫌いに……なれ、ないよ……ッ…」
冴と凛が愛したものを姉の私が嫌いになれるはずがない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 352人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
湊(プロフ) - めんちさん» めんちさん、コメントありがとうございます！私もまだまだですので、一緒に頑張りましょ！💪 (6月26日 20時) (
レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
めんち - めっちゃ面白いです！私も夢小説かいてるんですけど国語力なさすぎるので湊様みたいに楽しいお話つくりたいです (6月26日 14時) (レス) id: 05dd0f2a4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：湊 | 作成日時：2023年6月26日 9時
