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70.全てを伝える話・中編 ページ23

「姉ちゃんも俺を捨てたってことだよ」


「え………………………………?」




凛を、捨てた?


「凛、何言って――」

「夏休みのあの日、姉ちゃんは男と何してたんだよ」


男?
男って…………誠士郎くんと玲王くんのこと?


「凛、誤解だよ。私は別に誠士郎くん達とは――」

「誠士郎くん?…んだよそれ……」


凛は乾いた笑いを口から漏らす。


「……姉ちゃんは言ったよな?俺を捨てないって」

「………………言ったよ。だって、私は凛のお姉ちゃんだから。捨てるなんて絶対にしない」

「何嘘ついてんだ?姉ちゃんは俺を捨てたじゃねぇか」


凛の冷たい視線が私に突き刺さる。


「……捨てたって…私は今も凛が好きだよ。家族として、姉として。だから――っ」

「それが俺とは違うんだよッ!!!!!!」

「っ!」


肩を揺らして凛は叫ぶ。


「俺は姉ちゃんのことが…Aのことが、姉としてじゃなく…異性として好きなんだよ…ッ!」


凛のターコイズブルーの瞳が私をうつす。
凛の瞳の中の私は、驚きと悲しみをいり混ぜたような顔をしていた。


「…………………………なに、それ」


姉としてじゃなく、異性として……私が好き?


「そ、そんなの……しら、ない…っ」


凛の言葉の意味を自分の中で上手く消化できない。
だから、このむず痒い感情を全て凛にぶつける。


「好きって…………無理、だよ…そんなの、だって私たち家族で…………」

「それでもいい」


ギュ、と私の背中に凛の腕が回された。


「は、離してっ」

「離さねぇよ。逃げられると思うな」

「っ……」


何とか抜け出そうと力を入れてみるけど、男の人の力には到底敵わない。


「なんで……なんで、わたしがすき、なの?凛の周りには、もっと可愛い子が―――っ」

「そんなのいるわけねぇだろ!!」

「っ!」


背中に回された腕に力が込められていく。


「A、好きだ…ッ。ずっと…一生、俺だけを見てくれ…ッ」

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(プロフ) - めんちさん» めんちさん、コメントありがとうございます!私もまだまだですので、一緒に頑張りましょ!💪 (6月26日 20時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
めんち - めっちゃ面白いです!私も夢小説かいてるんですけど国語力なさすぎるので湊様みたいに楽しいお話つくりたいです (6月26日 14時) (レス) id: 05dd0f2a4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年6月26日 9時

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