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69.全てを伝える話・前編 ページ22

「…………糸師凛様、強化指定選手に選出されました…」


手渡された紙をまじまじと見つめる。


「…これって、しばらく凛は帰ってこないってこと……?」


紙から視線を外して凛を見つめる。
凛は私から視線を逸らして、こくりと頷いた。


「そっ、か……」


凛に渡された紙を彼に返す。
その時も凛は私から目を逸らしていた。


「…………」

「……部屋戻る」


凛はそう小さく呟いてくるりと方向を変える。


「っ…」


あの日、私が彼を突き放した日から私はマトモに凛と話せていない。
……私は、凛と普通の姉弟でいたかった。それだけ、だったのに。


「……り、凛…っ!」


ここで凛と別れてしまったら、もう二度と凛と普通の姉弟に戻れない気がしたから。
私は彼を呼び止めた。


「……話が、あるの」


そう言うと凛はやっと合わせてくれた目で「何?」と訴えてくる。
私はギュッと拳を握りしめて、いつもみたいに凛に微笑んだ。



「…………………………私、好きな人が出来た」



普通の姉弟なら、普通の姉と弟の関係なら「よかったね。おめでとう」って言ってくれる。
きっと凛なら、きっと――――。


「………………やっぱり、な」


だけど、リビングに響いたのは凛の低い声と意味のわからない言葉。


「…やっぱり、って………………?」


笑顔を崩さないまま、凛にそう問う。
凛は「ハッ…」と笑ってから口を開いた。




「姉ちゃんも俺を捨てたってことだよ」


「え………………………………?」

70.全てを伝える話・中編→←68.糸師家の姉ちゃんの話・後編



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(プロフ) - めんちさん» めんちさん、コメントありがとうございます!私もまだまだですので、一緒に頑張りましょ!💪 (6月26日 20時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
めんち - めっちゃ面白いです!私も夢小説かいてるんですけど国語力なさすぎるので湊様みたいに楽しいお話つくりたいです (6月26日 14時) (レス) id: 05dd0f2a4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年6月26日 9時

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