60.青い監獄の話 ページ13
�犹綮� 凛様
強化指定選手に選出されました��
❁︎凛side
白い封筒に入っていたソレに目を通していく。
「強化指定、選手」
一枚の紙に書かれている言葉を呟く。
これに参加すれば、兄を潰す計画にまた一歩近づくかもしれない。
「…クソが」
だけど、心の残りなのは。俺の心に引っかかるのは。
『私は…冴と凛に、サッカーじゃなくて私を見てほしくて……ッ…』
今の姉をひとりにしてしまったら――。
『――お願いだから、もう無理しないでくれ……ッ』
――また、あの時みたいに潰れてしまうのではないか。
「……どうすりゃ、いいんだ」
姉をひとりにしたくない気持ちと兄を恨む気持ちが競り合っていく。
『……もう…もう、大丈夫だよ。凛。私のことなんか見ないで大丈夫だから。凛は凛の人生を生きて』
……でも、今の姉に俺が何をできるというんだ。
あんな顔させて。今の俺にはあいつに何も出来やしねぇ。
「あークソッ……」
髪をくしゃりと掴んで、下を向く。
目を閉じると思い出されるのは、あの時の――。
――自分を責めて倒れた姉の姿。
❁︎
「見てみて！姉ちゃん！今日も俺と兄ちゃん、優勝したんだよ！」
「そう、なんだね…」
姉ちゃんの悲しそうな顔。
俺が姉ちゃんに見せびらかすようにしている賞状を見つめる姉ちゃんの瞳。
――あぁ、これは夢だ。姉ちゃんを追い込んだ、あの時の夢。
「凛、そんな紙切れもらったくらいではしゃいでんじゃねぇ。俺たちはこれからもっとすげぇものを掴みにいくんだ」
「…！うん！」
憎き兄の幼い姿。
兄の言葉に嬉しそうに頷く俺の姿。
そんな俺たちを見つめる姉の辛そうな瞳。
「…私、先に部屋、戻ってるね」
なんで、気づけなかったんだ。
なんで、アイツの方しか見てねぇんだよ。
Aを見ろ。お前の愛する姉は酷い顔をしてる。
後ろを振り向け。腕を掴め。
自分を追い込むんじゃねぇ、って怒鳴れ。
幼い俺にどれだけ説こうと、届きやしない。
当たり前だ。これは夢だから。もう、起こってしまったことなのだから。
――この夢は、姉が倒れるまで覚めることはないのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 352人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
湊(プロフ) - めんちさん» めんちさん、コメントありがとうございます！私もまだまだですので、一緒に頑張りましょ！💪 (6月26日 20時) (
レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
めんち - めっちゃ面白いです！私も夢小説かいてるんですけど国語力なさすぎるので湊様みたいに楽しいお話つくりたいです (6月26日 14時) (レス) id: 05dd0f2a4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：湊 | 作成日時：2023年6月26日 9時
