49.明るい笑顔の話 ページ2
「どうも、糸師Aです」
ぺこりともう一度、お辞儀をすると玲王さんは目を白黒とさせた。
「はッ！？糸師！？」
「は、はい…糸師、です」
「おい、凪！お前、あの糸師さんと知り合いなのかよ！？」
「なんの糸師ー…」
「なんの糸師って…そんなの…ッ」
玲王さんに寄りかかりながら、今にも眠りそうな誠士郎くんとそんな誠士郎くんに質問攻めする玲王さん。
「えぇと…玲王さんが言っているのはもしかして私の弟…糸師冴のことですか？」
「！ほんとうにあの糸師冴のお姉さんなんですか！？」
アメジストの瞳をまん丸にして玲王さんは私に詰め寄ってくる。私は首を縦に振った。
「は、はい…私は糸師冴の姉です…」
「すげぇ…！凪、お前すげぇ人と知り合いなのな！」
「糸師冴って誰……」
今にも瞼が落ちそうな誠士郎くんの肩を玲王さんが揺らす。
「ぐえぇ…玲王…揺らさないでぇ……」
「いやいや！お前すげぇよ！さすが俺の宝物！」
面倒くさがりの誠士郎くんにもこんな素敵なお友達がいたんだ…。感激かも。
口を両手で覆って誠士郎くんを見つめていると、誠士郎くんはジロっと私の方へと視線を移した。
「……ねぇ、A…今、失礼なこと考えたでしょ」
「えっ、な、なんのこと…？」
まさかバレていたとは……。
冷や汗を頬に垂らしながら必死に誠士郎くんから目を逸らす。
「あのっ！」
玲王さんが誠士郎くんの肩から手を離して私へと近寄ってきた。
「俺も糸師さんと仲良くなりたいです！今から時間ってあったりしますか？」
「えっと…うん。あるよ」
凛と顔を合わせるのが気まずくて外を出歩いていたのだから、時間を潰せるなら願ったり叶ったりだ。
玲王さんの提案にコクリと頷くと、玲王さんはパァっと顔を明るくさせた。
「なら、俺と凪のサッカー見てくれません！？」
「え――」
「えー…さっきもサッカーしてたじゃん…めんどくさ…」
「いいじゃん！凪！せっかく、糸師さんに会えたんだし！凪もカッコイイところ見せたいだろ？」
「……それは……まぁ…」
二人が楽しそうに話しているのを横目に顔を俯かせる。
『私は…冴と凛に、サッカーじゃなくて私を見てほしくて……ッ…』
「う…ん。…いい、よ」
ほんとは、サッカーなんてもう見たくなかったけど。
「っしゃ！よかったな！凪！」
「えぇ…」
二人のサッカーなら――…。
誠士郎くんのサッカーなら――…。
――…見ても、いいかもしれない。
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湊(プロフ) - めんちさん» めんちさん、コメントありがとうございます！私もまだまだですので、一緒に頑張りましょ！💪 (6月26日 20時) (
レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
めんち - めっちゃ面白いです！私も夢小説かいてるんですけど国語力なさすぎるので湊様みたいに楽しいお話つくりたいです (6月26日 14時) (レス) id: 05dd0f2a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊 | 作成日時：2023年6月26日 9時
