11.夢を見る話 ページ13
「おかあさん、りんとさえは？」
おかあさんのスカートをぐいぐいとひっぱる。
おかあさんは小さい私を見下ろしてニコッと笑った。
「冴はサッカーに行ってるわ。凛もそれについて行ったんじゃないかしら？Aも見に行く？」
おかあさんの口から私の嫌いな単語が聞こえた。私は口をギュッとつぐむ。
「……みにいかない。サッカーきらい」
「あら…」
おかあさんは、困ったような顔をして私を見つめた。
私はおかあさんから離れて自分の部屋へと戻る。
バンっと勢いよく扉をひらいて、勢いよく扉をしめた。
扉に背中をよりかけて目から溢れる涙を一生懸命拭う。
「っ…なんでぇ…っ……Aもりんとさえとあそびたい…っ」
胸の中が�猗瓩靴き瓩破笋畤圓�されていく。
今の私はずっとひとりだ。起きても、もうさえもりんもいなくて。おかあさんたちもさえのサッカーを見に行く。私たちは、三姉弟のはずなのに――…。
「…サッカーなんてきらい…っ」
目を一生懸命擦る。それでも、涙は止まなくて。
結局、その日は一日中泣いていた。
――10年前の話だ。
❁
「……んぁ」
目をひらくと、見慣れない天井。隣からはスゥスゥと低い寝息が聞こえてくる。ふと、そちらの方を見つめると15歳の弟が可愛く寝息を立ててぐっすり眠っていた。
「………………夢、か」
15歳の弟の姿を見て理解が出来た。
それにしても、10年前の夢を見るなんてどれだけ記憶に深く根付いているのだろうか。
あの頃の記憶なんてあんまり覚えていないし、出来れば思い出したくないのが本音だ。
凛のほっぺたをぷにぷにと触りながら考える。
10年前――5歳の弟との記憶は、正直いってあまりない。
彼に尋ねてもそうだろう。きっと、兄ちゃん――冴の記憶しかないと思う。あの頃の私は、実質ひとりっ子だといってもおかしくないだろう。
「…」
私には凛が何を考えているかよくわからない。
今の凛が私とどうしたいのか、よくわからない。
私も、凛とどう接すればいいかよく考えなくてはならないのだろう。
「眠い…」
だけど、眠気には逆らえないみたいで私のまぶたはゆっくり視界をふさいでいく。
凛のサラサラとした髪を撫でながら、私は現実から目を背けた。
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湊(プロフ) - もちうささん» もちうささん、コメントありがとうございます！これからもふたつのルートにご注目ください！ (6月8日 19時) (
レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさ - 凛ルートと凪ルートがありますね！凛君推しなので結婚とか出来なくても事実婚なら出来ますね！ (6月8日 13時) (レス) @page34 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - アルです！\(●°ω°●)/さん» アルです！\(●°ω°●)/さん、コメントありがとうございます！凪は私的にも好きなキャラクターなのでどんどん活躍させていきたいと思っています！ (5月28日 1時) (レス) id: 8e39c25e39 (このIDを非表示/違反報告)
アルです！\(●°ω°●)/(プロフ) - そういえば糸師兄弟と凪は神奈川県出身だったなぁ…凪登場ありがとうございます！ (5月28日 0時) (レス) @page17 id: f6a6e363df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊 | 作成日時：2023年5月19日 12時
