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時は莫迦みたいに過ぎてゆく。過ぎていった時は音も形もなく何処かへ消え去ってゆく。その何処か、を知る者はこの世の中に居ない。
太宰は後先振り返らず帰る、10時ごろ探偵社を出発し、走り出したのが11時30分。此方へついたのは20時。実に8時間30分の移動。遅く感じるかも知れないが、体感してみれば分かるだろう。
戸をガチャリと開けると小柄な身長と柔和な笑み、艶のある髪をたなびかせた、愛すべき妹が其処には立っており、安堵の心地を誘った。
抱きつけば腕の中にすっぽりと埋まり、嗚呼、家に帰ってきた、と実感できる一つの方法でも有った。暖かくなんだか気持ちが良い。
『お疲れ様でした。』
その一言だけで今迄の疲労は何処かに飛んでいってしまった。まるで過ぎていった時のように。
「…A、此処にいては君の命が…」
『ええ、そのような事。大体見当がついておりました。覚悟は出来ていますよ。』
嗚呼、彼女は哀れな子だ。太宰の何もかも見空いてしまう頭を得てしまったのだ。太宰は後悔したし、自分の頭を短剣で突き刺そうかと。
『兄さん、私からもお話が有るのです。宜しいでせうか。』
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時雨(プロフ) - ネムさん» そう言っていただけてめっちゃめちゃ嬉しいです!!!!!!!!!!!このコメントで私もニコニコしちゃいました。嬉しさいっぱいです、こんなに長いのに読了してくださりありがとうございました! (8月6日 2時) (レス) id: b6f643f10a (このIDを非表示/違反報告)
ネム(プロフ) - あぁもう…だめだ。なんか言葉に詰まってしまいます。完結ありがとうございます。最高でした。 (8月1日 1時) (レス) @page41 id: 41eadc19f5 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - ピポポタマスさん» 遅くなって御免なさい。本作中にとても書けず、おまけという形で書かせて頂きました。甘くねぇな…コーヒーシュガーにもなりきれてません…本当にすいません。書き直しならいつでも致します。(双黒なのに太宰さんしか使っていない…ああああ!!) (2018年3月7日 22時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - きなこもちさん» 有難うございます!満足頂けましたか?とてもの三連続…w次回の作品もいずれ書きますのでその時はよろしくお願いします! (2018年3月4日 19時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 完結おめでとうございます!とてもとてもとても面白かった…!お疲れ様でした(*´∀`*) (2018年3月4日 19時) (レス) id: 48ae29e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年2月14日 12時