第4話 「俺に何か？」 ページ4
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彼女との邂逅後、自分の人生が変わったかと聞かれれば答えはNOだ。1人の女子生徒に人生を狂わされるほどの人生を送ってきたつもりはない、今の所は。
「偶然ですね！幸村先輩」
嘘つけ、ここ3年の校舎だぞ。
立海は3年生になると第三校舎という3年生しかいない校舎に移される。本校舎からは徒歩5分程度の少し距離がある校舎であり、用事がない限り他学年の生徒がいることはありえないのだ。
彼女との邂逅後、1つ変わった事と言えば彼女を見かけることが明らかに増えた事である。見かけること、というよりは彼女が俺の前に現れることが増えたというのが正しい気もする。黙って佇む姿は女優並み、いや女優よりも美しくどこか厳かで儚い雰囲気を醸し出しているのに。非現実的な美しさを持つ彼女が俺を一目見る度に目を輝かせて、紛れもないただの女子生徒に変わっていく。幸村先輩、と彼女が俺の名前を呼ぶ度に自分の名前じゃないみたいで自分の中で齟齬が生じる。
「偶然って知ってるかい？」
「予期もしない事が起きる事ですよ、常識〜」
「復唱してごらん。俺の言いたいことがきっと分かるよ」
そう言いつつ、彼女との会話を続ける程度には随分彼女に絆されている。ここで彼女を無視する事も出来るがそれはあまりにも彼女が不純で、一種の人命救助だと言い訳をツラツラ並べながらローファーを下駄箱に入れる。青い上履きの上に乗せられた桜色の手紙に気が付いたのは俺が先か、彼女が先か。2人の間に流れる沈黙がやけに五月蝿かった。
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幸村の大きな溜め息が人混みに消える。昼休みが始まったばかりの時計を恨めしそうに見上げてから幸村は俗に言うラブレターに視線を落とした。ラブレターを貰うことなんて日常茶飯事で回覧板を貰うような感覚であったが、それは人間としての最低限の何かが欠如していると気が付いたのは最近の事であった。喉元を通り抜けた溜息は手元にある手紙の重さか、それとも視線に追われない日々への違和感か。
「精市」
聞き慣れた声に振り向けば、困ったように笑う柳が教室の後ろの扉に背中を預けていた。ごめん、と幸村が言葉ばかりの謝罪を口にすれば慣れたように柳はそれを手で制した。
「それで、俺に何か？」
「あぁ、…」
何か考えるような仕草をしていた柳の視線が幸村の胸元に移る。失礼、と言葉を残した柳が幸村のネクタイを引っ張った。不意をつかれたが、散々部活で鍛えられた幸村の体幹が揺らぐ事はなかった。
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福原(プロフ) - ゆきもりさん» コメントありがとうございます❤︎そう言っていただけて光栄です(;_;)緩くではありますがぜひお付き合い下さい❤︎ (2022年7月29日 11時) (
レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもり(プロフ) - 第1話から心奪われました...恋が始まる予感....更新楽しみにしています^^ (2022年7月28日 14時) (レス) @page3 id: 1e05fd341a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：福原 | 作成日時：2022年7月28日 14時
