第26話 「君のために」 ページ26
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「幸村先輩もリレーなんですか？」
Aの溌剌とした声が幸村の耳に届く。1のビブスを身に纏ったAは熱戦の熱が冷めないトラックの中で幸村に向けて満面の笑みを浮かべていた。どうやら彼女は実行委員として、1番目にゴールした生徒を捕まえる役目があるらしい。
接戦に接戦を重ねたクラス対抗リレーが終了し、体育祭はついにクライマックスを迎えていた。
ラストを飾るのは各団から選出された6名がバトンを繋ぐ色別対抗リレーである。無論、色別対抗リレーに出場するためにクラス対抗リレーを欠場した幸村は青団の期待を背負ってトラックの中に入場しているわけだが。
「そう、しかも」
「アンカーですよね」
彼女が自信満々に言うものだから思わず吹き出した。そんな幸村の様子を見て何となく不服に思ったのかAは半目で幸村を見上げていた。
「1位で戻ってきてくださいよ？私が幸村先輩を捕まえます」
そう言って子供のように笑う彼女には、2年生クラス対抗リレーでアンカーを走り抜けた疲れは見られない。
彼女は2位で渡されたバトンを強く握り、1位との距離を詰め、最後の直線で順位を変え1位でゴールテープを切った。アンカーとして200mを全速力で走り抜けドラマチックな展開と望み通りの順位を齎した彼女は立派なヒロインだった。彼女が頑張ったのは彼女自身の為か、それとも面子を保つ為か。そんなの俺にとってはどうでも良かった。
勝利の行方を背負い覚悟を決めた彼女と視線が交わった瞬間、初めて武者震いがした。それだけで十分だ。
「ゆき、むら先輩？」
入場の指示をするために一歩踏み出そうとしたAの腕を幸村が掴んだ。相変わらずの細い腕。力を込めたら折れてしまいそうだ。
「お門違いなことは百も承知だけど」
今年流行ったラブストーリーの主題歌が爆音で流れている。
「君のために走るよ」
人混みの中で彼女の腕を掴んで引き止めて、思いを告げようとするなんて。まるで、ドラマのワンシーンみたいだ。
「だから、俺を捕まえて」
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福原(プロフ) - ゆきもりさん» コメントありがとうございます❤︎そう言っていただけて光栄です(;_;)緩くではありますがぜひお付き合い下さい❤︎ (2022年7月29日 11時) (
レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもり(プロフ) - 第1話から心奪われました...恋が始まる予感....更新楽しみにしています^^ (2022年7月28日 14時) (レス) @page3 id: 1e05fd341a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：福原 | 作成日時：2022年7月28日 14時
