第21話 「同じだな」 ページ21
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普段と真っ白な体操着ではなく、それぞれ赤青黄緑の色のTシャツを身に纏った生徒達が広すぎるグラウンドに集まっていた。
男子生徒の中でも身長の高い幸村は容姿も相まって良くも悪くも目立っていた。とは言え、幸村にとって体育祭は今年で最後になるため存分に楽しむ準備はできていた。そんな中、体育祭実行委員長により開会式の号令が掛けられた。
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幸村と柳が並んで動く度に女子生徒の視線に追いかけられカメラに追い回されるのは恒例行事であった。体育祭に免じて続々と声を掛けてくる同じクラスの生徒から面識のない生徒に愛想良く対応することにも慣れたのもあるが、単純にテニスから離れたただの男子生徒である自分に声をかけてくれる生徒にはありがたい気持ちがあった。俺は君の気持ちに応えることは出来ないから、写真1枚くらいでいいのならどうか良い思い出になりますようにと祈りを込めて笑顔を向ける。
そんな幸村の背後から聞き覚えのある声が聞こえた。隣にいた柳もそれに気付いたのか、ふと後ろを振り向いた。
幸村の思った通り、競技待機所で実行委員らしく生徒達に指導をするAの姿があった。相変わらずの白く細い腕はAの身につける青色によく映えていた。
幸村達の視線に気付くことなく必死に実行委員としての役割を果たす彼女が少しだけ眩しい。上級生に囲まれて不安げな表情を浮かべた下級生にも同じ視線になって落ち着かせたり、メンバー収集の確認の催促を行う彼女が別人みたいに思える。近くにいて気付かなかったけど彼女は理想的な女子生徒なのだ。
「A、俺どこの列？」
グラウンドで行われている競技がクライマックスを迎えた頃、彼女の同級生であろう青色のTシャツを身に纏った男子生徒が彼女の肩を叩いた。
「来るの遅い！自分で探せ！」
怪訝そうに眉間に皺を寄せた彼女が男子生徒を雑に扱う。男子生徒もその扱いに慣れているのかケラケラ笑いながら彼女に話し掛け続ける。彼女が男子生徒の列を指さすと男子生徒は軽く手を上げて列へと向かった。
年相応と言っては何だが、息が止まるような美しい容姿とどこか大人びた雰囲気に慣れていた俺は彼女の高校2年生らしい姿を見れて嬉しい反面、どこか釈然としない行き場のない感情が燻っていた。
「同じ、だな」
「え？何が？」
「精市とA。青団だぞ」
ホイッスルが鳴る。競技終了の合図なのか、また競技開始の合図なのか幸村には分からなかった。
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福原(プロフ) - ゆきもりさん» コメントありがとうございます❤︎そう言っていただけて光栄です(;_;)緩くではありますがぜひお付き合い下さい❤︎ (2022年7月29日 11時) (
レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもり(プロフ) - 第1話から心奪われました...恋が始まる予感....更新楽しみにしています^^ (2022年7月28日 14時) (レス) @page3 id: 1e05fd341a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：福原 | 作成日時：2022年7月28日 14時
