第17話 「よく見てるんだな」 ページ17
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ギラギラと照りつける太陽と頭に響くような歓声が夢に思えるくらい幸村の日常は至極落ち着いたものへの変化していた。ああ、夏が終わったのだと実感して目頭が熱くなったような気がした。3年生の引退試合である夏の大会とやらも続々と終わりを告げ、登校初日の恒例行事である始業式のために生徒達は体育館に集まっていた。肌を小麦色に染めた同級生を見ては幸村は夏の終わりを肌で感じていた。そして、白いワイシャツが溢れる体育館で、幸村は背筋に痛いくらいの視線を感じていた。
視線の方へ振り返れば、体育館の窓から差し込む太陽の光に照らされた白い頬が目に映った。彼女も俺達と同じ夏を過ごしたというのに、俺の目に映った彼女は記憶の中の彼女と変わらなかった。
相変わらずの消えてしまいそうな白い肌と力を込めたら折れてしまいそうな体躯は無常なんて言葉を真っ向から否定しているようだった。俺にとって彼女は毒だ。同級生らしき女子生徒と笑い合う姿は彼女達よりも大人びていて、どこか憂いを帯びた表情は俺の焦燥感を煽るだけだった。何度か腕まくりされたワイシャツから覗く手首が幾分細くなったように感じたのは気のせいだろうか。
彼女も俺の視線に気付いたのか、彼女が顔を上げる。パチ、と交わった視線に彼女は花が咲いたように笑った。心底嬉しさを表した彼女の笑顔は夏に留まろうとしている俺の心を嫌に刺激する。痩せた？と口パクする俺に気が付いたのか、彼女は大きな目を更に大きくして数秒動きを止めた。止めた、というよりもフリーズした、もしくは固まったというのが正しい。一つ一つの挙動が面白くて思わず笑った俺を見て、彼女は数回大きく頷いた。
「ねえ蓮二、彼女痩せたと思わない？」
「彼女？どこにいるんだ」
え、という幸村の声と共に教頭らしき声が体育館に響き渡る。始業式を始めるから組毎に、出席番号で並べと耳にタコができるほど聞いた指示が出された。
ほらあそこ、と声を掛けるも柳は彼女を見つけることが出来ないようで結局整列する生徒たちに流されて見失ってしまった。
「ほら、あそこだって」
「よく見てるんだな？精市」
いや、と言葉を続けようとする幸村を制するように教頭らしき声が再度体育館に響く。
「表彰があります、呼ばれた部活動は登壇してください。硬式テニス部、サッカー部、野球部__」
私立らしく冷房が効いた体育館で暑さに嘆く生徒がいないためか立海の始業式は毎度スムーズに進んでいった。
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福原(プロフ) - ゆきもりさん» コメントありがとうございます❤︎そう言っていただけて光栄です(;_;)緩くではありますがぜひお付き合い下さい❤︎ (2022年7月29日 11時) (
レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもり(プロフ) - 第1話から心奪われました...恋が始まる予感....更新楽しみにしています^^ (2022年7月28日 14時) (レス) @page3 id: 1e05fd341a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：福原 | 作成日時：2022年7月28日 14時
