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第3話 ページ3

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蒸し暑さにも耐性が身に付いたAは、右手にアイスココアを持ちながら教室へ向かった。



顔のしれた同級生たちに軽く会釈をしながら、窓際の自分の席に腰を下ろした。
喉元に通るチープな甘味はAの知った味だった。



窓から照りつける日光が、Aの絵画のような横顔に影を作った。楚々としたAの風貌は無自覚ながら、人々を惹きつけていた。









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8時を少し過ぎた頃だったか。


Aたちとは違う色の上履きを履いた男子学生が、教室の後ろの扉から教室の様子を伺っていた。出入りをするクラスメイトの邪魔にならないように、大きな体躯を少しだけ屈めていた。




どうやら、3年6組の教室に後輩が訪ねに来たようだ。


どこかで見たことある顔だな、とAは友人と談笑しながら後方の扉に視線だけ向けた。Aは瞬きをしたあと、友人に断りを入れて席を立った。




「君、」


Aが声をかけると、彼はども、と軽く会釈をした。

あぁ、この子。この間見た子だ。確証はないけど確信した。少年なんかじゃないや、思ったよりも大きかったな。



「誰かに用事?」

「…あ、不二先輩か菊丸先輩いますか?」


ワンテンポ置いて彼はAに視線を向けたが、すぐに逸らした。


「待ってて、呼んできてあげる」

Aが彼にそう告げれば、彼は小さく頭を下げた。
そうだ、とAが呟くと彼はもう一度視線をAに向けた。






「授業はちゃんと受けなさいね、少年くん」




Aはそう言うと薄く微笑んで彼に背を向けた。彼は目をキョトンとさせてAを見つめた。その瞳に、私は映っていない気がした。

彼の望み通り不二と菊丸と姿を探すと、栗色の髪の毛が目に入った。不二くん、と名前を呼べば「ん?なんだい?」と痛みひとつない髪の毛を揺らしながら振り返った。



「後輩くんが来てるよ」

「ん?あ、越前じゃないか。ありがとうA」

「いえいえ」



不二はAに微笑みを残して、彼が待つ後方の扉へと歩を進めた。

Aは友人に軽く謝罪をして自分の席に再度腰を下ろした。





(そういえば、不二くんってテニス部だったっけ)


Aは頭の片隅でそんなことを考えながら、友人との恒例行事のお喋りへと意識を落としていった。



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福原(プロフ) - ぱーぷる姫さん» ありがとうございます‪‪❤︎‬ぱーぷる姫さんにそう言っていただけて光栄です( X_X ) (2月24日 1時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 涙が溢れ出ました!あまりに綺麗で切ない表現に何度も読み返しました。ありがとうございました! (2月18日 15時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
福原(プロフ) - 幸絵さん» ご感想ありがとうございます(;_;)またどこかで2人が会える日がくることを願っています、、リョーマ!失恋組!初遭遇です!やはり初恋は実らないものですね、、 (2021年11月10日 9時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
幸絵(プロフ) - 完結おめでとうございます!ついついヒロインの先輩と結ばれて欲しい〜って思ってしまいました。話は変わりますが、『劇場版リョーマ!』私も失恋した気分になりました! (2021年11月10日 6時) (レス) id: 4696a5fece (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:福原 | 作成日時:2021年9月17日 0時

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