第26話 ページ26
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「ごめん先行ってて、寄る所があるの」
友人にそう断りを入れてから、Aは体を固くしながら1年生の教室へと足を向けた。
デジャブだ、マイノリティな自分が恥ずかしかった。
越前の教室を見つけたものの、越前の姿は見当たらなかった。
3年生が1年生の教室を覗いているのは異質な光景だったのだろう、まだ人の少ない教室からの視線が痛かった。
「あ」
見た事のある顔をした男の子と目が合った。ああ、あの時の陽気そうな顔をした男の子だとAは瞬時に思い出した。
「君、ちょっといいかな」
男の子に手招きをすれば、気が付いたのか急いで椅子から立ち上がりAに駆け寄った。椅子の音が人の少ない教室に響き渡りAは思わず口角を上げた。
「はっ、はい！」
男の子は緊張した面持ちで堀尾です、と短く名乗った。身長はAと同じくらいか、少し上。大きい方なのだろう。
「越前くんいるかな？」
「あぁ！越前なら…」
堀尾は大きく目を見開いてから教室を見渡し、後頭部をかいた。
ビンゴ、やはり彼はいなかった。
バツの悪そうな顔を作る堀尾にAは笑いが込み上げてきた。別に君は悪くないのになぁ。
あ、と短く声を出した堀尾にAは一瞬驚いた。
一点を見つめる堀尾の視線を追うように、Aは左側に視線を移した。
「おーい！越前！」
堀尾が意気揚々と越前に手を振る横で、Aはただ越前を見据えていた。図書室で会った彼女と会話を交わしながら歩く越前のことを。
別にいいじゃないか、ただの同級生だ。
Aだって不二や菊丸と話しながら登下校する事なんてよくある事だ。タオルを握る手に力が篭った。
「堀尾くん」
「はい？」
「あの2人、付き合ってるの？」
堀尾はAの端正な横顔を見つめた。
2人の様子を見据えながら思考を整理するように出た言葉に、A自身も驚きを隠せなかった。あくまでポーカーフェイス。感情を表に出さないように、息を吸った。
越前と彼女はこちらの様子に気づいたのか足を早めていた。越前はAの姿を見付け、小走りで向かって来た。
「んーどうっすかね、竜崎は越前のこと好きだと思いますけど。まぁ、越前も満更じゃないっすよね〜！」
堀尾の声はAに届かなかった。
そうだね、と曖昧な返事をしてAは越前に向き合うことにした。
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福原(プロフ) - ぱーぷる姫さん» ありがとうございます❤︎ぱーぷる姫さんにそう言っていただけて光栄です( X_X ) (2月24日 1時) (
レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 涙が溢れ出ました！あまりに綺麗で切ない表現に何度も読み返しました。ありがとうございました！ (2月18日 15時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
福原(プロフ) - 幸絵さん» ご感想ありがとうございます(;_;)またどこかで2人が会える日がくることを願っています、、リョーマ！失恋組！初遭遇です！やはり初恋は実らないものですね、、 (2021年11月10日 9時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
幸絵(プロフ) - 完結おめでとうございます！ついついヒロインの先輩と結ばれて欲しい〜って思ってしまいました。話は変わりますが、『劇場版リョーマ！』私も失恋した気分になりました！ (2021年11月10日 6時) (レス) id: 4696a5fece (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：福原 | 作成日時：2021年9月17日 0時
