大人になれなかった君へ ページ9
高校生FKi
死ネタです
それはあまりにも突然だったから。
「おはよっ北山！良い天気だね！」
「そうだな」
窓から差し込む光が藤ヶ谷のつけているシルバーブレスレットに反射して眩しくて目を細める。
本当に今日は良い天気だ。
最近毎朝起こしてくれる藤ヶ谷のお陰でここのところは遅刻していない。
まだ寝たいがまあありがたいことである。
いつも通り準備をして、いつも通り家を出て、いつも通り通学路を歩く。
「なぁ、ところでお前はいつ成仏すんの？」
今までと違うのは、隣にいる藤ヶ谷が幽霊であるということ。
所謂幼馴染みと言われる俺たちは小さい頃から高校生に至るまでずっと一緒だった。
それこそお互い知らないことなどないくらいに。
けれどこいつは死んだ。
俺が隣にいないときに。
「成仏ねぇ、心残りが無くならない限りはしないかな。」
「は？さっさと心残りなくせよ、お前がいると俺が変な目で見られんだよ。」
こいつは今幽霊だから、他の人には見えていないわけで。
話していると必然的に端から見ると俺は不審者なのだ。
「じゃあさ、北山泣いてよ。」
昨日だってクラスメイトに誰と話してんだよ？って聞かれてこまって…
「……なんで？」
いったい何を言い出すかと思えば、嘘が下手くそか。
なんだか今日は人が全然歩いていないな、なんて関係ないことを考えて逃避してしまう。
「だってさ、北山泣いてないでしょ。」
「病院に駆けつけてくれたときも、俺の通夜と葬式のときも。」
「そ、れは、」
本当にそれが心残り？
そんなことより他にあるだろ、
歩く足が止まる。
「今までずっと一緒にいてさ、俺にとっての一番はお前！ってやつに死んだのに泣いてもらえない俺の気持ちにもなれよ。」
藤ヶ谷は笑って俺を小突くけれど、、
泣けない、泣けるわけない。
藤ヶ谷みたく笑うこともできない。
心から冷えていくみたいだ、この話は、もう。
この話が解決してしまえば、お前は、
「…突然すぎんだよ、お前はいっつもさ。」
振り回される俺の事なんて考えたことないんだろうな、けどそれでもいい、それでもよかったんだよ。
お前が隣からいなくなる前は。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひすい | 作成日時：2018年9月26日 18時
