きみじゃなきゃだめかもなあ、((Kento.N)) (ページ7)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:6,344 hit

07.きみじゃなきゃだめかもなあ、ページ7

.

それから、さっきティラミスを食べた小さなテーブルの前に並んで座って。床の上だから、ちょこんとお互いの肩が当たってる。

謙杜はなんだか嬉しそうな顔をしているけど、いつもの元気いっぱいな感じじゃない。妙に大人びて見えた。
……なんだなんだ、なんかかっこいいじゃんか。

『なにがどうわかったんか教えてや』

テーブルに肘を着いて、覗き込むように私の顔を見つめる彼。
くりくりの目が電気の反射できらきらしてる。

「わかんなかった」
『………』

…あれ、やっぱり今日の謙杜はおかしい。
なんでや〜！とか言って抱きしめられて、俺のこと好きやんな？て確認されるところまで想像してたのに。

(…そんな優しい目で見ないでよ)

ーーーー…謙杜じゃなきゃだめな理由なんて、いくら探したって出てこないけど

「まだ分からないけど、分からないままでいいかなって」

優しさとかかっこいいとか、そんなのは謙杜だけが持ってるわけじゃないし、もしかしたら謙杜以外にも私のことを大切にしてくれる人はどこかにいるのかもしれないし。
だから私も、それだけで"謙杜じゃなきゃだめな理由"にしたくなかった。

でも今日、謙杜の家に入った時、いつもは視界に入っても目に止まらない靴箱の上の写真に気づいて。ふたりが笑ってる写真。
私もう、それだけでいいやって思ったんだよね。

それから、あの質問。嫌いなとこどこ？最初に謙杜がそう聞いてきたけど、私そんなのよりティラミス食べたかったよ。だって、嫌いなところの方が具体的に出てきちゃうし。

だけど違うんだよ、嫌いなとこも含めて謙杜だからさ。

ーー…私、謙杜じゃなきゃだめなのかもなあ

.