きみじゃなきゃだめかもなあ、((Kento.N)) (ページ3)

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03.俺じゃなきゃどうするの？ページ3

〇謙杜

どゆこと〜！て何度も聞く俺に、Aちゃんはなんて言えばいいかなーなんて呑気な声を出す。いやいや、こっちは結構焦ってるんですけど？

だって、高2のときにAちゃんが東京から越してきて、俺が猛アタックして、高2の冬に付き合い始めて、それからもうーーー…3年目。

そこでそんなこと言われたら、困惑以外にない。

「あんな、ーーー…」

俺につられてなのか、最近時たま関西弁が出るAちゃんが、舌っ足らずの関西弁からその発端となった出来事を説明してくれる。

こんな時でさえ可愛いから、なんだかものすごく腹が立つ。

『じゃあ、そっからもう2週間もそれ考えてるん？』
「謙杜に会う度思い出すから」
『最近なんか変やなって思っとったんよ。なるほどなあ』

さっきまで鼻歌でも歌い出しそうなくらい呑気だった彼女は、急に自分の言ったことの深刻さに気づいたのか、複雑そうな表情を浮かべる。

でも、ほんとに"今になって"深刻さに気づいたんなら、俺にもう冷めたとかそういうんじゃないんだろう。
だって、この2週間はそれ以外はいつものAちゃんだったし。

「あのね、でも謙杜のことはめっちゃ好きなんだよ？ほんとに、好きなところ探そうて思って見てるとさ、理由なしに好きだなあってなるんよ。でもそれをかっこいいって一言で言うのは嫌で、いや間違ってないんだけど、好きだから全部かっこよく見えるわけで、だからそれだけじゃないっていうかーーー…」

ほんまに肺活量どんだけあんねんって思うくらい、必死になって早口で捲し立てる彼女がどうしようもなく愛おしくて、がばっと勢いよく抱きしめる。

あ、もしかしてAちゃんが言いたいことってこういうことかな。

勢いに負けて、そのままソファに倒れ込んで至近距離で見つめ合う。

『…わかっとらんなあ、もう』
「へ？」
『じゃあ教えたる、Aちゃんが俺を好きな理由！』
「けんと？」
『ちょっとだけ時間あげるから、また俺が聞くときまでに、俺じゃなきゃあかん理由10個考えといてな』

すっごい意地悪なこと言ったのは重々承知。
でも、すぐに教えちゃうのはもったいないから。

…必死に考えてるAちゃんをもうちょっと見てたいっていう俺の欲。

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