笑い合って、誓い合って ページ41
みんなが去った後、いないのではないかというくらい小さく泣き続けるナワーブくんは、じっと動かずに立っていた。
何をしても反応が無く、ただただ見守ることしか出来ないのかと、無力な自分が嫌になった。
あんなに支えてくれた、守ってくれた彼が辛い時に、私は何も出来ないのか。
……静かに泣く彼が、このまま消えてしまいそうだと思った。
気づけば私は、ナワーブくんを抱きしめていた。
ギュッと抱きしめながら、落ち着くようにゆっくり、優しく話しかける。
「ナワーブくん、大丈夫だよ。…もう大丈夫。
不安だったよね。得体の知れないものに追われて、でも私を置いて行けないからって守り続けて。心も体も疲れたよね。
ありがとう、私を最後まで守ってくれて。
あのね、怖いって思うのは当たり前なんだよ。だから全然ダサくないし、自分を追い込むほど強がらなくてもいいの。
…泣いたっていいんだよ。君が私の前で泣くことがないから、頼りない人って思われてそうで少し不安だった。これからはもっと私を頼ってよ。
君1人で頑張る必要ないんだよ」
……彼の体が震えている。ずっと震えないように我慢していたのだろうか。
「君と一緒にいるよ」と思いを込めて抱きしめる力を少し強める。
そうして、しばらく私は彼を抱きしめ続けた。
彼の涙が落ち着いてきた頃、彼が振り向こうとするので、そっと抱きしめていた腕を離す。
泣きはらした目で私を真っ直ぐ見つめて、おずおずと口を開いた。
「…幻滅、しないのか？」
「するわけないじゃない。嬉しいくらいだよ？」
「…こんな奴に守られてたんだぞ？」
「そんな君に守られててよかったって思ってるよ」
「……俺は、これからお前を守るに値しない奴だ」
「そんなことない。私は君に守られたいし、助けを求めるなら君がいい」
「なら、これからもお前を守っていいのか？」
「もちろん、これからもずっとよろしくしたいな。…私を守ってくれませんか？」
「…喜んで。貴方を守りましょう…この腕に誓って」
そう言って彼は私の前に腕を上げる。
私はその腕にそっと手を添えて、言う。
「ここに、これからずっと貴方から守られることを誓います…この身に誓って」
誰も触れていないはずのピアノが音を立て始める。しかし私たちの耳にそれは届かなかった。
何年、何月も経った今、もう一度誓い合った私たちはボロボロの病院の中、泣きはらした顔で笑い合って、ギュッと互いを抱きしめたのだった。
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四葉(プロフ) - 夕霧さん こちらこそありがとうございました！感動させるとこができたようでこちらも嬉しいです！ (2019年7月29日 8時) (
レス) id: e202c92208 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - ゆきさん 読んで下さりありがとうございました、素敵と言ってもらえて嬉しいです...！ (2019年7月29日 8時) (レス) id: e202c92208 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - いや、あの、……はい泣きましたァァァァア！！！心ん仲がキャーキャー言ってます！ありとうございましたァァァァアァァァァア！！！←語彙力なくて申し訳ないです！ (2019年7月28日 17時) (レス) id: 2612ac3b18 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 連載お疲れ様でした。とても素敵なお話でした。 (2019年7月9日 7時) (レス) id: 3b646a2d91 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 申し訳ありません...！修正いたしました、ご指摘ありがとうございます！ (2019年6月16日 0時) (レス) id: e202c92208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四葉 | 作成日時：2019年6月15日 22時
